海ときどき山、ところによりキャンプ

オヤジの緩いアウトドアライフ

山行記(9) テント泊で絶景の南八ヶ岳・硫黄岳へ

 ゆったり登山派の私の、今一番のお気に入りはここかもしれません。桜平登山口から入ってオーレン小屋のテント場でテント泊し、硫黄岳や根石岳天狗岳に登ります。いずれの山も桜平からの日帰りも可能ですが、桜平から1時間半のオーレン小屋のテント場をベースキャンプにして、それぞれの山頂まで1時間~2時間のピストンをして絶景を楽しむ、テント泊初心者やゆったり派には最適のコースです。

初めて行ったのは6月ですが、硫黄岳山頂から谷越しに見る、左右に阿弥陀岳と横岳を従えた赤岳の姿は感動ものでした。翌朝は根石岳に登りましたが下に広がるカールがきれいでした。すっかり気に入ってその年の秋にも行きましたが、季節や時間帯を変えてまた行きたいと思っています。

硫黄岳山頂から

南八ヶ岳 硫黄岳 標高2760m  北八ヶ岳 根石岳 標高2603m

(オーレン小屋   標高2330m)

2021年6月5日(土)・6日(日)

コース

 初日  桜平駐車場-オーレン小屋-夏沢峠-硫黄岳-赤岩ノ頭

     -オーレン小屋(テント泊)

 2日目  オーレン小屋-根石岳―オーレン小屋-桜平駐車場

ルート定数

 初日  21.3  行動時間    5時間 距離7.5km 累積標高差△970m ▽498m

 2日目   13.5  行動時間 3時間30分 距離7.5km 累積標高差△439m ▽911

 

 2020年は北八ヶ岳に2回行きましたが、苔と森と湖池の優しいイメージの北に対し荒々しいイメージの南八ヶ岳も魅力的です。いずれは赤岳鉱泉か行者小屋でテントを張って八ヶ岳の最高峰赤岳ピストンを、と思っていますが、流石にいきなりはハードルが髙いからと選んだのがこのルートでした。登山口の桜平からオーレン小屋までは約80~90分、オーレン小屋と硫黄岳のピストン往復約3時間、初心者がテントを担いで歩き、ピストンをするには手頃です。翌日は根石岳天狗岳にピストンすることもできます。桜平-硫黄岳は日帰りで登っている方も多く、頑張れば日帰りできる山をテント泊で楽しむというゆったり派の私には最適でした。コロナ禍でオーレン小屋のテント場も人数制限して完全予約制だったのでハイシーズン前のこの時期を選びましたが、テント場の雰囲気も、2つの山に登ったことも良かったですし、何より硫黄岳山頂からの景色が素晴らしかった!!

ちなみにオーレン小屋と夏沢峠を間に挟んで硫黄岳が南八ヶ岳の最北端、根石岳北八ヶ岳の最南端だそうです。

 

入山~オーレン小屋

 8時に桜平を出発すれば、オーレン小屋でテントを張ってから硫黄岳、天狗岳どちらでも余裕を持ってピストンできると逆算して、23時半に自宅を出て中央道八ヶ岳PAで5時間ほど仮眠、6時40分に桜平駐車場に着きました。すでに駐車場は8割がた埋まっている状態、腹ごしらえと準備をして7時40分に駐車場から歩き出しましたが、その頃には駐車場は満車で前後の林道の路肩にも停まり始めていました。

駐車場から10分ほど歩いたところが登山口ですが(ここにも駐車場があります)、その先の夏沢鉱泉までは水音が気持ちよく響く水量の多い渓谷沿いに一般車通行止めの緩い登りの林道を30分ほど歩きます。夏沢鉱泉は山間の小さな宿ですが見下ろした谷間の先に北アルプスが見えていました。夏沢鉱泉から先もしばらく渓流沿いに林間を歩き、小さな橋を渡ると少し急な登りになりますが、つらい登りではありません。急ぐ道でもありませんし初めての道なので途中ゆっくりし過ぎ、オーレン小屋着は9時20分でした。

オーレン小屋のテント場は到着時には15張程度のテントがありました。フリーサイトで所々にすのこが置かれており、地面もそれなりに整地されていますが、やはりすのこから埋まっていくようです。ただしすのこは少し古くて傷んでいるものも多く、気を付けないとテントの底布を傷めそうです。日当たりが良く比較的しっかりしたすのこが空いていたのでそこにテントを張りました。軽く朝食を取ってさて天狗岳に出発、と言うところで小屋の外に出てきたご主人に挨拶したら、明日は風が出そうだから、今日目的の山に登っておく方が良いと言われて先に硫黄岳に登ることにしました。そう言っているうちにも日帰りの登山者でしょう、大勢の方が小屋の前を通り過ぎて行きました。

オーレン小屋(HPからお借りしました)小屋にも泊まってみたいですね

明るいテント場です

オーレン小屋~夏沢峠~硫黄岳

 登山道はオーレン小屋で3方に分かれています。1つは夏沢峠に登る道、1つは赤岩ノ頭に登る道、もう一つは根石岳から天狗岳に登るです。硫黄岳ヘは夏沢峠からと赤岩ノ頭からの2つのルートがありますが、夏沢峠から登り赤岩ノ頭から降りて来ることにしました。オーレン小屋を10時35分に出発し11時前に夏沢峠着、約20分の登りです。夏沢峠にも2軒の山小屋がありますが、いずれもコロナで休業中でした。

夏沢峠の少し先までは樹林帯ですが、本格的な登りは森林限界を過ぎてから、岩場やガレ場に切られた登山道を折り返しながらひたすら登りますがここで体力差が出ます。若い人たちに随分道を譲りながら夏沢峠から1時間10分、硫黄岳山頂に着きました。途中遠くの山々や眼下の森林の見晴らしは良く、休み休み登れば気持ちが良い登りですが真夏や風雨が強い日は辛そうです。

 夏沢峠からのルートは硫黄岳の北面なので、北八ヶ岳北アルプス日本アルプス、上信越の山々は良く見渡せますが、南側にある赤岳や阿弥陀岳は上り詰めて山頂に着くまで全く見えません。このコース実はここがポイント、硫黄岳の山頂に顔を出した途端に谷越しの赤岳、阿弥陀岳、横岳が目の前にド~ンと現れるのです。まさに左右に阿弥陀岳と横岳の大関を従えた横綱赤岳という感じ、大のお気に入りの景観になりました。

硫黄岳山頂は広く平らで360度視界を遮るものはありません(逆に日差しも風雨も遮るものがありません)。

南には赤岳を中心に南八ヶ岳の山々、そして南アルプス日本アルプス北アルプス、上信越の山々までぐるりと見渡せます。もちろん金峰山瑞牆山など奥秩父の山も見えています。

赤岳を挟む谷は狭いですが急で、赤岳鉱泉からあそこを登るのか、と思うと躊躇するような傾斜です。この景観は写真では上手く伝わりません。ぜひその目で見てください。谷の上、ハイマツの横に腰を下ろして40分、景観を堪能しました(昼食も兼ねてですが)。

夏沢峠から硫黄岳を望む

硫黄岳への登り 北アルプスの展望

あの上が硫黄岳山頂です

硫黄岳から 中央に赤岳 右に阿弥陀岳 左に横岳

天狗岳はこちら

荒々しい山容です

硫黄岳~赤岩ノ頭~オーレン小屋

 下りは赤岩ノ頭からオーレン小屋のルートを取りました。赤岩ノ頭までは左に谷越しの赤岳や阿弥陀岳を見ながら下ります。オーレン小屋から赤岩ノ頭に登ってきても谷越しの赤岳、阿弥陀岳がいきなり現れるので、迫力を感じるとは思いますが、夏沢峠ルートのそれには少し負けるかなと思いました。赤岩ノ頭から下は樹林帯でオーレン小屋へは木々に挟まれた明るい道を下ります。流石八ヶ岳、6月ですが日が当たらない窪地にはまだ雪が残っていました。硫黄岳から赤岩ノ頭まで15分、赤岩ノ頭から40分、13時55分にオーレン小屋に戻りました。私はテント泊ですが、これなら確かに桜平から十分に日帰りできますよね。

 テント場のテントの数は増えていましたが、私がピストンしている間に撤収されてもっと良い場所のすのこが空いていたのでテントを移し、後はのんびりと過ごしました。

オーレン小屋のテント場はオーレン小屋の正面、渓流を挟んだ場所にあり、2021年はコロナ禍で人数制限をしていましたが、制限がなくなれば最大100張ほど張れるようです。水場は渓流からの水で水量豊富、トイレは小屋のトイレを使い、有料ですがテント泊者も風呂を使えるようです(2021年は風呂は×だったように思います)。

夕日自体は見えませんでしたがカラマツ越しの夕焼けと星空がきれいでした。

夜はやはり気温がぐっと下がりますが、ウルトラライトダウンとダウンパンツ、モンベルのダウンハガー650#3とSOLエスケープヴィヴィで快眠できました。

硫黄岳から赤岩ノ頭に下ります 前方は南アルプス

赤岩ノ頭 ここで赤岳に別れを告げて下ります

テント場も賑やかになっていました

テント場からの夕焼け

オーレン小屋~根石岳~オーレン小屋

 翌朝は5時30分起床、早立ちで既にテントを撤収している人もいました。私はテントはそのままに、根石岳にピストンすることにして6時10分に出発しました。オーレン小屋から根石岳のすぐ手前の箕冠山までは直登ルートと夏沢峠を経由するルートがあり、地図で見ると夏沢峠経由は崖の際を登る様子、展望が良さそうでしたが今回は直登ルートを選択、こちらは直登とは云え斜度もきつくなく林の中を登る気持ちの良いルートでした。ただ箕冠山までは展望もなく、こちらにも残雪がありました。

箕冠山を越えるといきなり開け、少し下って根石岳山荘、再び登って根石岳です。根石岳山荘はコロナで休業中、山荘の前のコマクサの群落もまだ早く、登山者は硫黄岳に比べ圧倒的に少なく天気は良いのに少し寂寥感がありました。次に来た時には天狗岳まで足を伸ばそうと、偵察のつもりで一度根石岳を超えて白砂新道の分岐まで下りてから根石岳に戻りピークに。岩塊が積み重なったピークには視界を遮るものはなく展望は良かったですし、根石岳天狗岳の間のカールも見ごたえがありました。

オーレン小屋から根石岳へは50分、根石岳のピークや両肩を40分ほどうろうろして来た道をオーレン小屋に戻りました。オーレン小屋着は8時25分、根石岳からの下りは40分ほどでした。

根石岳への登りで見える天狗岳

根石岳天狗岳のカール

根石岳山頂から 天狗岳

根石岳山頂から 北アルプス

硫黄岳 オーレン小屋から

撤収~帰宅

 オーレン小屋着後速やかにテントを撤収し9時にオーレン小屋を出発、ゆっくり下って桜平駐車場には10時10分に到着しました。荷物を積み込んで駐車場を出発、少し下ったところにある茅野市の市営施設「河原の湯」

に1時間ほど浸かり、諏訪南ICから中央道、中部横断道を一気に走り(途中八ヶ岳PAで昼飯を食べましたが)帰宅しました。茅野市には幾つか市営の温泉施設があり「縄文の湯」などが人気らしいですね。河原の湯は桜平から下る道筋にあって最も近いのですが、観光客に人気があるような風情がある建物ではありません。でも多分地元の人しか来ないのではないかと思うくらい静かで空いていて、私は11時くらいに入館しましたが40分くらい湯舟独占状態でした。休憩スペースも広く、市外在住者600円で安く疲れを癒せます。

 

 💛 昨日初孫が生まれました。可愛い女の子です。

  いつか、「おじいちゃんしっかりしてよ!」などと言われながら一緒に山に登る日 を夢見て、精進精進!!

歩いたルート