ワカサギ竿の穂先を少し作り増したので、改めて「ワカサギ釣り 竿を自作してます(2023.6.10)」、「完全自作のワカサギ竿実釣レポート(2023.12.4)」で書いたワカサギ竿の穂先の自作方法をもう少し詳しく。作り方も少し楽にしました。
1、準備
1)材料
①5mm厚のカラー塩ビシート(ホームセンター、300×200mm、528円)
※好みの色のシートを細く切って貼り重ねて穂先を作ります。視認性は黄色。
②塩ビ用接着剤(ホームセンター、628円)
※少し高いですが塩ビを溶かして固めるので接着後は曲げても剥がれません。
③5~0.6mmのピアノ線(ホームセンター、12m巻、324円)
※ガイドの材料です。圧倒的に安いのでバネ線からピアノ線に変えました。
④マスキングテープ(100均、110円)
※一番面倒なガイドのスレッドの糸巻きをマスキングテープに変更。
⑤クリアー樹脂(釣具店、約300円)
※マスキングテープのはがれ防止、耐水、摩擦減のためコーティングします。
⑥瞬間接着剤(100均、110円)
※ガイドを塩ビシートに接着します。
⑦熱収縮チューブ(ホームセンター、408円、収縮前6φ)
※好みで。穂先の元を補強し径を調整し抜き差しし易くします。
●価格は実際に私が購入した価格(税込み)です。
●②⑥⑦等ワカサギ竿の自作のためだけではないものも入っています。
2)工具
①カッターナイフ、定規(塩ビシートをカット)
②カッティングシート(塩ビシートをカット、接着時の作業台
③先細のペンチ(ガイド加工用)
④ニッパー(ピアノ線カット用)
⑤先の丸い手工芸用ペンチ(ガイド加工用、100均で購入)
※または精密ドライバーのような2~3mmφの細い金属棒)
⑥ピンセット(ガイド接着用)
⑦綿棒又は細筆(クリアー樹脂塗布用)
⑧ライター(熱収縮チューブ加工用)
⑨はさみ(マスキングテープカット用)
2、制作
1)穂先(塩ビシート)の加工
①塩ビシートを同じ幅で縦長に切り出します。1.5~2.5号の錘負荷の場合、私は穂先1 本あたり5枚を切り出します。先細にしても構いませんが、穂先の加工やガイドの加工、取り付けが楽なので私は300mmの長さで、先から元まで3.5~4mmくらいで同じ幅に揃えます。
※釣り具メーカーが出しているワカサギ竿は、大抵穂先の元径が5㎜です。0.5㎜のシートを6枚で3㎜、4㎜幅なら三平方の定理で丁度5㎜径になります。
②塩ビシートは一度に切り出そうとすると曲がったり切れ目が粗くなったり、怪我をする原因になるので、カッティングシートの上で定規を当て、カッターナイフで切れ目を少しづつ深くしていくイメージで切り出します。
③先端を少しずつずらしながら切り出した塩ビシートを貼り合わせます。付属のスポイトで接着剤を吸い上げ、張り合わせたいところに線を引くように接着剤を垂らし、すぐに塩ビシートを重ねます。はみ出た接着剤はティッシュペーパーなどでふき取ればOK、すぐならずれても直せますし、間にカッターの刃を入れれば一度剥がしてして貼り直すこともできます。
※以前は少しでも見栄えが良くなるよう貼り重ねる塩ビシートの先端を斜めに削っていましたが、重なりの部分にガイドを付けてマスキングテープを巻けば隠れてしまうので、今は削っていません。
※ずらし方や上に重ねるか下に重ねるかで曲がり具合が違ってきますが、そこは好みで。1.5~2.5号の錘負荷にする時、私の場合は大体こんな間隔でずらして貼り重ねます(単位:cm)。
※5枚重ねでは元の部分が少し柔らかく心もとなく感じるので、余った部分を切って更に貼り重ねて6層にします。
④しっかり貼り合わせたら端を切り揃え、カッターナイフの刃を立てて塩ビシートの角や側面を擦って凹凸やバリを削れば、穂先のベースの完成です(細かいサンドペーパーを当てればよりきれいになります)。
2)ガイドの加工
①ピアノ線の端から2~3cmのところを手工芸用先丸ペンチで挟み、ペンチを回しながらしっかり2周巻き付けます。端が短すぎると後で形を整え難くなります。
※巻いた外径が塩ビシートの幅と同じか少し狭くなるようにすると、ガイドが接着しやすくなります。細くし過ぎると冬はラインについた水がガイドに氷着して詰まることがあります。
②脚になる分を残して切り取ります。
③輪の部分をペンチで挟み、形を整えながら脚を曲げて、余分な脚を切り取ります。
※巻き付けた輪は少し斜めになりますから両脚の向きや間隔(塩ビシートの幅よりやや狭く)を調整して、輪が塩ビシートの真上に乗るようにします。
※穂先の長さと曲がり具合にもよりますが、1本の穂先に5~7個のガイドを付けます。
3)ガイドの取り付け
①塩ビシートの曲がり具合を見ながらガイドを貼り付ける位置を決めます。
②塩ビシートの上に瞬間接着剤を垂らし、位置と方向を合わせてガイドを乗せて接着します。
③ガイドの脚の間に瞬間接着剤を垂らして接着を強化します。
④接着剤が乾いたら、適当な長さと幅に切ったマスキングテープをガイドの脚を覆うように塩ビシートに巻き付けます。
⑤マスキングテープの上に綿棒でクリアー樹脂を塗り付けて乾燥させます。
4)元(軸部)の加工
①穂先の軸部を取り付けたいグリップの穴に合わせて、削ったりマスキングテープを巻いたりして太さを整えます(軸部は円形にしなくても構いません)。
②軸部の先に熱収縮チューブを被せてライターで炙ります。
※チューブが少し余って元径より萎むようにつけると抜き差しが楽になります。貼り合わせの補強にもなり、多少緩くても穂先が回転しにくくなります。太さを合わせるためには慣れが必要かも。でも何回かやり直せば大丈夫。
※塩ビは熱に弱いので、ライターで炙る時柔らかくなって曲がりやすくなるので注意。曲がったら熱いうちに形を戻して平らなところに置いて冷まします。
3、完成
これで自作の穂先の完成です。十分に実用に耐えます。1.5~2.5号の錘負荷を想定して作っていますが、深場で4~5号の錘を背負わせてもアタリは取れますし錘や魚の重さで(5~6点掛けになっても)折れたことはありません。ただし当然ですが、U字状に曲げたり、急に強い力を掛けるとあっさり折れます。また熱に弱いので、炎天下で直射日光が当るところに長時間放置したりすると軟化して曲がることがあります(炎天下でもバッカンの中等に入れていて曲がったことはありませんが、空になったペットボトルに刺し込んで日なたに置いていたら、ペットボトルのレンズ効果もあってぐにゃりと曲がりました)。
300mmの塩ビシートを切り出しますが、途中で貼り継いで継ぎ目の上を上下から挟んで貼り重ねて補強するなど工夫すればもっと長い穂先も作れます(50cmまでは作って実釣したことがあります)。
幅210mmのシートから4mm幅で切り出せば52枚、穂先1本に5枚使っても300mmの穂先が10本できる計算です。塩ビシート以外は始めに挙げた材料で何10本も作れますから、自分の好みを求めて作り直しても必要なものは時間と手間だけです。
2-1)-③の寸法で作った穂先の実際の曲がり具合はこんな感じです。