海ときどき山、ところによりキャンプ

オヤジの緩いアウトドアライフ

山行記(8) 紅葉トレッキングのつもりが雪中行軍に 北八ヶ岳 白駒池~にゅう周回

 富士山以外の山に登り始めて3回目の山行は妻を誘っての北八ヶ岳、白駒池~にゅう(そういう名前の山です)周回でした。遅い紅葉の中のトレッキングのつもりが初雪になり、冠雪したにゅうに登ることになりました。

富士山の夜行日帰り登山に続いて妻が山行の誘いに乗らなくなった決定的な原因となった山行です。

 

2020年10月17~18日

北八ヶ岳 にゅう 標高2352m

コース   小屋泊り1泊2日

                      白駒池(白駒荘泊)-白駒湿原-にゅう-にゅう分岐-中山

                      -中山展望台-高見石-白駒池

ルート定数 17.7(コースタイム4時間45分 歩行距離7.9km 

                      累積標高差△637m ▽653m)

      ※ルート定数は白駒池発着の周回ルートをヤマケイOnlineで辿った時間、

                         距離、高低差と計算式で算出したものです。

 

白駒池の紅葉

雪中行軍

1日目

出発~白駒池

 ガイドブックで見て是非行きたいと思っていた白駒池からにゅうの周回ルートを歩こうと妻を誘いました。誘い文句は

「遅い紅葉を見に行こう(10月の半ばだから紅葉の盛りには少し遅いけど)」

「白駒池は駐車場から遊歩道を20分歩けば行ける日本一標高が高いところにある森に囲まれた自然湖だよ」

「白駒池の周りは苔に覆われたジブリの世界、もののけの森だよ」

「宿泊する白駒荘は山小屋と言ってもきれいでオシャレな山荘で個室もとれるよ、食事もおいしいし満天の星が素晴らしいらしい」

「白駒池から展望の良いにゅうまで2時間くらい、にゅうから後は中山展望台、高見石と展望が良いポイントを巡って戻ってくるだけ」・・・

いずれも嘘ではありません。誘い文句に誘われて(嘘ではありませんから決して騙された、ではありません)妻もその気になりました。

 アプローチが楽なので初日は朝食を食べてから家を出、甲府武田神社に参拝し(初めて訪ねました)、もつ煮とそばを食べてから入山口の麦草峠(白駒池入口)に向かうことにしました。中央道を諏訪南ICで降りて八ヶ岳エコーラインを走ってR299メルヘン街道へ、とここまでは良かったのですが、メルヘン街道に入ったところで空の様子がおかしくなり小雪が舞いだしました。冬用タイヤやチェーンが必要なほどではなかったのでそのまま麦草峠の先、白駒池入口まで走りましたが、池入口の駐車場に着くころには路肩が薄っすら白くなるくらいになっていました。普段雪など降らない静岡県人、思わぬ雪に逆に喜んで「雪の中の湖も風情があって良いよね、これで明日晴れたら最高だね」などと言っていましたが・・・・・。

実際その通りにはなったのですが山に降る雪をすっかりなめてました。

 駐車場から白駒池まで森の中をゆっくり歩いても20分ほど、観光バスで訪れた観光客が散策気分で歩く道です。森の中をのんびり歩いて白駒池に出た途端空も池の周りも真っ白でびっくり。白駒荘に着き、荷物を置いて「白い雪と紅葉のコントラストがきれいだよね」などと言いながら1時間ほどかけて白駒池を一周、風呂で温まって(石鹸やシャンプーは使えません)しゃぶしゃぶの夕食を楽しんで・・・・・。

この日は妻も上機嫌でした。消灯後まで雪は降り続いていましたが、深夜2時頃に目を覚ますと止んでいて、空はすっかり晴れて満天の星でした。

白駒池と白駒荘 これ10月中旬です

白駒荘

嘘じゃない 紅葉です 雪もありますけど・・・

夕食はしゃぶしゃぶ

部屋の窓から夜空を撮ってみました

2日目

白駒池~にゅう

 翌朝、雪は止んで空は青く晴れていましたが辺りは真っ白、白駒荘の周りは5㎝くらい積もっていました。朝食中白駒荘のご主人から「この後雪が降る予報はないが、上は冠雪しているようなので無理をしないでください。登るのならゆっくり出て先行者が踏み跡をつけてくれるのを待った方が良い。」と案内があったので、少しゆっくり目に準備をして7時40分に出発しました。

静かな朝の白駒池

山に登らなくても白駒池や森をまわるだけで楽しいかも・・・

いよいよ出発

頭上が開けた道は雪が積もっていましたが、早立ちの登山者がつけた踏み跡を辿って歩きます。 もう一つの山小屋青苔荘のテント場には10張ほど雪を被ったテントが張られていて、寒そうにお湯を沸かしている人もいました。 池の周りや苔の森に整備された木道は雪が降ると滑りやすく厄介です。 軽アイゼンなど持っていなかったのでストックで支えながら慎重に歩きましたが、それでも何回かしりもちをつきそうになりました。

少し登ると現れる小さな白駒湿原を抜けると再び森の中に入ります。 頭上を覆われた森の中の登山道には雪はありませんが、降った雪が解けた水も加わっているのでしょう、一部浅い沢のようになっていて、深みに踏み込まないよう注意しながら歩きました。

沢道を抜けると少し急登になりにゅうの直下まで森の中、雪のない道を登りました。 木道や沢道を注意して歩いたこともありましたが、白駒荘からにゅうまで2時間20分の行程でした。

静かな森と苔の世界

ジブリの森もののけの森

雪の木道は滑りやすいので注意

一晩で雪に覆われた白駒湿原

にゅうは大きな岩が重なった狭いピークが南八ヶ岳や富士山の方に開けています。 森の中からいきなりピークにでると、岩の上に雪が10cm以上積もっていたので驚きました。 雲が出てきており、周りの山々も眼下の森も一面雪化粧をしている先に富士山を望むことができました。 もっと晴れていたら最高の景色だったでしょうね。

にゅう山頂です 登っているうちに雲がでてしまいました

にゅうの山頂から

にゅうの山頂から 正面にうっすら富士山も見えました

にゅう~中山~展望台~高見石

 にゅうから来た道を素直に戻れば良かったのですが、初めてのコース、ここからは中山、中山展望台まで稜線を歩きそこからは降りるだけ、という思い込みがあって先に進んでしまったのが失敗でした。 にゅうからにゅう分岐(中山峠・中山・にゅうの分岐)の先まではさほど傾斜のない道ですが、分岐を過ぎたところから急に雪が深くなってきて、10月とは思えない雪山登山になってしまいました。 それでも先行者の踏み跡があったのと、気温が高く寒さがなかったこともあって、1時間10分かけて中山を越えて展望台に着きました。 何人か先行者がおり、ちょうど昼時だったので昼食をとっている人もいました。 我々もお湯を沸かしてカップ麺でもと思いましたが、一面雪に覆われていて腰を下ろすところもなく、雲が増して展望も悪く、妻からも早く下りたがっている気配が強く伝わってきて、高見石小屋で何か食べることにして携行食を食べながら20分だけ休み、展望台を後にしました。

中山への登り すっかり冬山登山になってしまいました

中山までもう一息 口数が少なくなりました

高見石への下り もはや無言

 展望台から高見石へはひたすら下るだけですがしばらくは雪の深さは変わらず、雪が減っても気温が上がって緩んだ雪で靴は濡れて滑り、溶けた樹上の雪が雨となって降り注ぎ・・・・・。 後で妻が最もつらかった、と言っていたのは展望台から高見石への下りでした。 疲れもあって妻はすっかりペースダウンし1時間30分、ようやく高見石小屋に到着、小屋で温かいうどんを食べてようやくホッとできました。 高見石の名は岩が積み重なった高台からきています。 高見石の上に登れば森の中の白駒池も見下ろせるということでしたが、これ以上妻に無理をさせると大変なことになりかねないのでこの日はあきらめ、そのまま白駒池に下ることにしました。

 

高見石~白駒池~入口駐車場

 高見石から白駒池入口に下りるには2本ルートがあります。 1本は一度白駒池に下りてそこから戻る道、もう1本は白駒池を通らず白駒池から入口駐車場に戻る道に出る道です。 いずれも1時間くらいは歩かなければならないので、白駒荘で温かい飲み物でも、と思って白駒池に出る道を選びましたが、これも失敗でした。 そこそこの大きさの岩が重なった沢のような道を降りることになりました。 雪はほとんどありませんでしたが泥濘や水溜りが多く滑りやすく妻無言、足取り重く下り続け、途中の苔を愛でる余裕もなく白駒荘での休憩もパスして麦草峠に直行となりました。 後で聞いたら白駒池に出ないルートの方が凹凸も少なく登りやすく下りやすいとのことでした。 失敗失敗。 高見石から入口駐車場まで1時間20分、15時20分の到着でコースタイム5時間弱のところを7時間40分かけての雪中トレッキングとなりました。

下山 もうすぐ白駒池です

やれやれ、ようやく駐車場です 妻よすまん

 時間も遅くなりましたし、よほど疲れたのでしょう、駐車場を出てすぐに妻が助手席で寝息を立て始めたので、そのまま中央道の諏訪南ICまで下りて真っすぐ帰ろうかと思いましたが、思い直して八ヶ岳エコーライン沿いのたてしな自由農園原村店(野菜やフルーツ、農産加工品が沢山並んでいて人気があります)に寄って少し機嫌を直して頂き帰路につきましたが、この時のことはいまだ何かある毎に言われ続けています

 

あとがき

 10月中旬を過ぎた八ヶ岳は少し天気が悪くなれば平地の冬以上に寒くなることもあろうと防寒着を用意していたのは幸いでした。ただ雪までは想定しておらず、雪なし県で生まれ育ったこともあって木道や岩の上の雪の滑りやすさや緩んだ雪道の大変さなど全く頭になく、妻に無理をさせてしまうことになりました。

私自身は、思わぬ雪山歩きができ、景色はもちろん冬山登山のイメージもできて、実は楽しかったです。

白駒荘も高見石小屋も、白駒池のもう1軒の山小屋青苔荘も通年営業しており、いずれも入山口から近くてアプローチしやすく積雪期はスノーシューツアーなどもやっているとのこと、雪山体験をするのに良い場所だと思いうます。 にゅうや中山まで登らなくても、白駒池周辺の周遊や高見石への往復だけでも楽しめそう、季節を変えて通ってみたいところです。

 

歩いたルート