登山シーズンも終盤、山小屋も休業に入り出しました。今年はどこに言っても熊の話ばかり、飢えて人里に降りてくる熊が多いのなら、冬眠できない熊、早く目覚めて餌を漁り出す熊も多くなるでしょうし、冬も春も安心できませんね。
富士山以外の山に登り始めたのは新型コロナ禍で富士山が閉山になってから、短い山歴ですがシーズンオフの期間、このブログを始めるまでの山行についても、思い出して少しずつ書き残していきたいと思います。タイムリーな情報にはなりませんが・・・。
新型コロナ騒動初年度、富士山が閉山になって最初に登った富士山以外の山が鳳凰三山の地蔵岳です。中央道を走ると特徴的なオベリスクが良く見え、登ってみたいと思っていた山で、北沢峠周辺の小屋が休業している中で鳳凰小屋が人数制限をして営業していたこともあってここを選びました。御座石鉱泉からの往復、鳳凰小屋泊りで地蔵岳-薬師岳-観音岳を回りたいと思っていましたが初日はずっと雨の中、翌日も曇天の下での往復、往路では途中で足がつってしまったこともあって地蔵岳のみ、苦労しながらも印象深い登山となりました。
2020年7月 山梨県 鳳凰三山 地蔵ケ岳(標高2764m)
コース 御座石鉱泉-鳳凰小屋-地蔵ケ岳 往復(鳳凰小屋1泊)
ルート定数計算 45.1(コースタイム11時間40分 歩行距離12km
累積標高差△1937m ▽1937m)
※富士山富士宮口5合目-剣が峰往復のルート定数37.1
※ルート定数はヤマケイOnLineのマップを辿って出した時間や距離、
標高差を定数計算式に入れて私が算出したものです。
初日
~出発
登山口で少し仮眠するつもりで24時に静岡の自宅を出発、中部横断道と中央道を使い須玉ICで降りました。御座石鉱泉に向かう林道への入り口が良く判らずに少し迷いましたが、林道は青木鉱泉や御座石鉱泉行のバスが通っていることもあり、また分岐にはそれなりに標識が出ていてさほど不安を感じることなく走ることができ、予定より1時間遅れて3時30分に御座石鉱泉の駐車場に着きました。駐車場には既に4~5台の車があり、霧雨も振り出しており、天気の回復を祈りながら仮眠に入りました。
祈りは通じず6時半に目を覚ました時には霧雨から小雨になっていました。もともとゆったりした行程を組んでいて初日は最低でも鳳凰小屋に着けば良く、もし早めに着けばその日のうちに地蔵岳をピストンできればラッキーくらいの計画でしたので、雨も経験のうちと7時半に出発しました。登山者はポツリポツリで出発時には10台ほど駐車している状態でした。
このコースは御座石鉱泉から旭岳-燕頭山-鳳凰小屋-地蔵岳と辿ります。燕頭山から鳳凰小屋までは時折展望も楽しみながらの山歩きができますが、旭岳までは展望もない結構な急登です。このときは登り始めから1時間半、西ノ平を過ぎて旭岳の登りの途中、雨が本降りになったところでふくらはぎがつり出しました。
不慣れで上手にペースが作れなかったことと雨に濡れたこともあるのでしょう。また狭い急登の登山道でゆっくり休む場所もなかったためか、初めは片足だけでしたがそのうち両足がつってしまい、数歩歩いては立ち止まり、また数歩歩いては止まるような状態になってしまいました。まだ行程の1/4程、撤退も考えましたが一度しっかり休んでみることにして、何とか登山道が広がった脇、枝が茂った木の下に平らな石を見つけ、ザックを降ろし座り込みました。身体を冷やさないよう気を付けながら座っていると10分ほどでつりは引きましたが、焦らず更に30分休み続けたことが良かったのでしょう、また意識してゆっくり歩き始めたことも良かったのでしょう、まだふくらはぎに張りは感じましたが登り続けることができるようになりました。最低でも16時までに鳳凰小屋に着くことができれば良いですし、まだ時間の余裕もあったので旭岳まで登ってみて、そこで進退を決めることにしてもう少し頑張ってみることにしました。
幸いにも張りがつりに変わることもなく旭岳に着いたのは12時、予定より1時間遅れでした。旭岳山頂は狭く小さな山頂標識があるだけで展望もありませんがここからは稜線を歩きます。行程も半分を過ぎ足に疲れはありましたがつりがぶり返す気配はなく、このまま登り続けることにしました。
雨は降り続いており折角の稜線歩きも全く展望がない中、燕頭山に12時50分着、燕頭山山頂は広いのですが巨木と笹に覆われており、晴れていれば涼しげなのでしょうが、雨の日は暗く寂しげに感じました。こちらも展望はありませんでした。燕頭山からは斜面に切られた登山道を歩き、再び入った森を抜けたところが鳳凰小屋でした。鳳凰小屋着は15時、予定より2時間30分遅れての到着となってしまいました。
鳳凰小屋から地蔵岳山頂へは往復2時間30分くらいのようですが、この日は無理をせず大人しく小屋で疲れを癒すことにして受付を済ませ、荷物を降ろしました。
鳳凰小屋は山の肩に建てられており、敷地は狭いながらも前に沢が開けていて明るい雰囲気です。水場の水量も豊富で冷たい水がホースからそのまま流されていて、小屋の前のベンチで淹れたコーヒーも旨く感じました。寝床は2段の蚕棚、昔ながらの山小屋ですがきれいに維持されていました。定員は100名ほどですがこの時はコロナ対策で半分以下に定員を減らし完全予約制で営業していました。小屋の横に20~30張は張れそうな整地されたテント場がありましたが、この日はテントは張られていませんでした。夕食は定番のカレーライス、開業以来作り続けているカレーだと説明がありました。
2日目
朝、雨は降っていませんでしたが厚い雲に覆われており、小屋の上の方は霧が出ていました。朝食は5時30分からでしたが、既に地蔵岳に登って下りてきた人もおり、私は朝食後6時に地蔵岳を目指して小屋を出ました。途中までは明るい林の中を登り、林を抜けると花崗岩の砂の斜面が開けてそこを登って行きます。登った先が小さな地蔵が並んだ賽の河原、その横にオベリスクがそびえていますがこの日は霧に隠れて賽の河原からでもオベリスクの先端は見えませんでした。オベリスクは先端まではいけませんが直下までは登れるようです。私も少しだけ登りましたが霧は流れてくれず視界0で早々に下り、薬師岳と観音岳も次の機会にすることにしてそのまま鳳凰小屋まで下りました。往復で2時間強でした。
8時半に鳳凰小屋を出ました。御座石鉱泉まで4時間ほど下らなければなりません。相変わらずの曇りですが稜線は前日よりは少し明るく感じました。下りは順調でコースタイムより早く旭岳まで戻りましたが、旭岳からの下りは足の負荷でペースダウンし12時半に登山口着、結局コースタイムと同じくらいでした。
今回は生憎の天気でしたが、是非再びチャレンジして地蔵岳、オベリスクからの大パノラマを楽しみたいと思います。
~あとがき
鳳凰小屋から下る途中で大学生くらいの孫娘と登ってきた75才くらいのおじいちゃん(失礼、孫娘さんと一緒だったので)とすれ違いました。「年なのでもうヘロヘロです、孫娘に発破かけられて情けない限りですわ~」と言いながらもとても楽しそうで、孫娘さんも後ろでやさしく微笑んでおり、自分もいつか同じように孫と登ってみたいものだとうらやましく思いました。
これを書いている今息子たち夫婦は出産準備中、12月に初孫が生まれる予定ですが、果たしていつ一緒に山に登れるやら・・・というより一緒に登ってくれるかどうか、その時私に山に登れる体力があるかどうか・・・その時を夢見て精進したいと思います。