海ときどき山、ところによりキャンプ

オヤジの緩いアウトドアライフ

小型2次燃焼ストーブを作ってみました

はじめに

 ここのところ、私のキャンプ場でのソロキャンはバップテント、ローコット、ローチェアでタープなしのスタイルが多いですが、テント泊登山をした後などは山用のテントと小さなタープで地面に座り込み、小さな焚き火でキャンプをしたくなる時があります。

焚き火には30年間愛用の(壊れないので)折り畳み式焚き火台か、19㎝φの2次燃焼ストーブを使っていますが、山用テントにはもっと小さな方がしっくりきます。私の理想は胡坐をかいて座ってストーブの中を覗けるくらいの高さ、拾った小枝や松ぼっくりだけでなく、半分に切った細めの薪1本くらいは突っ込める大きさです。

山のテント場では直火はもちろん焚き火台を使っての焚き火もできませんから、もともと小さな焚き火台やストーブは持っていません。今は様々な焚き火台やストーブが安価で売られていますから、探せば理想のものも見つかるでしょうが、使う機会が限られていて買うのももったいないので、手持ちの材料を使って小型の2次燃焼ストーブを自作してみました。

 

これを作ってみました ネイチャーストーブとも言うようですね

 

・材料集め

・基本構造

・燃焼室(ケーキ型)の加工

・胴(ペンキ缶)の加工

・胴と燃焼室の接続

・耐熱性の問題

・一応完成

 

材料集め

2次燃焼ストーブ自作を思い立ったのは、たまたま自宅階段の塗装用に買ってすっかり忘れていた小さなブリキのペンキ缶(15.5cmφ×15cm高)を見つけたからです。燃焼室に使えそうな100均で買った12cmφ×高さ6cmの底板を外せるケーキ型も出て来ました。ペンキ缶を外側の胴に、ケーキ型を内側の燃焼室にすれば程良い大きさの2次燃焼ストーブが作れそうです。市販の小型2次燃焼ストーブの外径(10~12㎝φくらい)に比べれば少し大きくなりますし、入れ子式にスタッキングしてコンパクトに収納できる機能性もありませんが、山に担ぎ上げるわけではありませんし、普通の薪も半分に切れば燃やせそうです。

ドリルなどの工具も使いそうなビスやナットも一通り持っているので、足りないものが出ても新たな材料購入は1000円まで(安価な既製品2000円の半額まで)と決めて自作にチャレンジすることにしました。

基本構造

 2次燃焼ストーブは、胴と燃焼室の間で熱せられた熱気が燃焼室の口の部分から入り、1次燃焼で燃え残ったガスを燃やす構造です。

はめ蓋式で狭くなっているペンキ缶の口をそのまま生かし、蓋の替りに燃焼室をはめ込めば胴と燃焼室の2層構造ができます。ペンキ缶は高さが15cmあるので、高さ6cmのケーキ型を2つ重ねてつなげば、半分に切った細めの薪なら十分燃やせそうな内径と深さになります。ケーキ型の底板は空気穴兼灰落としの穴を開ければそのまま燃焼室の底として使えますし、ペンキ缶は底を切り抜いて周囲に空気穴を開け、燃焼室の下に灰受け皿を置いてやれば良さそうです。

2次燃焼ストーブの構造と自作イメージ

燃焼室(ケーキ型)の加工

 2次燃焼用の空気穴として、上になるケーキ型の縁に沿って電動ドリルで6mmφの穴を2.5㎝間隔で開けました。ケーキ型は薄いので、当て木をして穴を開けないと凹んだり歪んだりしますし、ドリル刃を太くしながら少しずつ穴を大きくしていかないときれいに開きません。バリにも気を付けて。

2つのケーキ型は同じ径でそのままでははめ込めないので、上になる型の底板を受ける折り返しをニッパーで1㎝幅で切って開くように広げ、下になるケーキ型の口にはめ込んで重なった部分に穴を開け、マイクロビスで挟み込んで止めてみました。底板は必要な空気穴の数や大きさ、配置など全く判りませんから何となく1㎝φの穴を開けてみました。

100均で買ったケーキ型を2個重ねます

1つは底を外しニッパーとペンチで切り広げます

切り広げた部分をもう1つの内側にはめ込んで・・・

外れないよう重なり部に穴を開けてマイクロビスで固定

底板にも穴を開けます(今回は適当・・・)

胴(ペンキ缶)の加工

 ペンキ缶の底は缶切りで抜き、電動ドリルで側面に空気穴として15mmφの穴を開けました。ペンキ缶も薄いので内側から当て木をしてドリルの径を少しずつ大きくし、最後はロータリーヤスリを当ててバリを取りながら穴を広げました。

缶切りで底を切り取ります

薄いので最初は小さく穴を開け、少しずつ広げていきます

胴と燃焼室の接続

ケーキ型の外径は12cmφ、ペンキ缶の口の内径は12.5cmφでそのままではケーキ型が落ち込んでしまうので、止めるために工夫が必要です。初めはアルミのリベットで止めたり耐熱パテで隙間を埋めて止める方法を考えていましたが、耐熱性が足りなかったり、隙間から熱した空気が燃焼室に入らずそのまま逃げてしまうことから、ケーキ型の底の折り返し同様にペンキ缶の口の折り返しをニッパーで1㎝間隔に切って、内側に狭めてケーキ型の上端の縁を受け止めて押さえることにしました。

ペンキ缶にケーキ型
をはめ込んで固定(上から見ると・・・)

下から見ると・・・

切れ目をケーキ型に打ち付けてすぼめます(下から見ると・・・)

拡大してみました

耐熱性の問題

工作中に大きな不安に突き当たりました。耐熱温度です。単純に木材の燃焼温度は200~250℃と思っていたので、初めはペンキ缶とケーキ型、ケーキ型同士をアルミのリベットや車のマフラー用の耐熱パテで接続すれば良いと簡単に考えていましたが、念のため調べ直したところ「木材の引火点は240℃~270℃だが炭化し始めが300℃、炭が灰になるのが500℃」、「焚き火の温度は最大1000~1200℃くらい」・・・、金属の融点も「SUS1300~1400℃、鉄1500℃、アルミ660℃、トタンの亜鉛400℃、ブリキのスズに至っては200℃」・・・。たまたまペンキ缶があったから自作を思い立ったのにペンキ缶自体耐熱性が足りないのでは無理だよね・・・いや待て、ブリキは鉄にスズメッキしたもの、熱でメッキが取れても別に構わないのでは?

すでにペンキ缶にもケーキ型にも穴を開けてしまっているし、何とか工夫してビス、ボルトで止めることにして作り続けたのがこれです。

 

一応完成

 燃焼室の2つのケーキ型はマイクロビスで止めましたが、上から薪を落とした衝撃などで外れてしまうと困ります。どうせ分解収納できない作りなので胴の内側3ヵ所にL字金具をつけて燃焼室の底を支えてしまうことにしました。

ペンキ缶の胴と燃焼室の接続は先に説明した通り、ペンキ缶の口の折り返しを1㎝きざみで切って、ケーキ型の上端の縁が引っかかるように内側から当て木をして強く叩きしっかり内側にすぼめました。

灰受けは底を抜いたペンキ缶にすっぽり入る、これも手持ちのソロキャン道具から探し出したSUS製の100均皿をそのまま使うことにしました。この100均皿、上に載せれば燃焼室の口をすっぽり覆うので、焚き火の後始末にも良さそうです。

燃焼室が落ちないよう下から押さえました

小型2次燃焼ストーブのセットです



底に敷く灰受け皿は蓋にも良い感じでした

上に乗せる五徳は後で考えることにして、これで一応完成としました。外径15.5cm、高さ15cm、燃焼室の内径12cmφ、深さ12cmの自称2次燃焼ストーブですが夜目遠目では「らしく」見えそうです。ペンキ缶の取っ手をそのまま残したのでぶら下げて持ち運べます。作業時間は実質6~7時間ほどだったでしょうか。

結局ほとんどを手持ちの材料で作り上げたので新たにかかった材料費は燃焼室の底を支えるL字アングル3個110円のみでしたが、全て買い揃えたとしてもペンキ缶600円くらい、ケーキ型・皿330円、マイクロネジ110円、計1200円くらいの計算です。

 

試しに短時間燃やしてみたら、一応2次燃焼らしき炎も見えましたが、継続して2次燃焼するか、耐熱性や耐久性も不安です。実際に焚き火をしてみて改めて結果を報告します。