台風明けの大菩薩嶺~大菩薩峠にテント泊登山に行ってきました。
大菩薩嶺~大菩薩峠は初めてですが、稜線の展望が良くて難易度も高くなく、ベースキャンプ型のテント場があることから、私の行きたい山の上位にリストアップされていました。日帰りも可能な山で登山もキャンプも楽しもうという、相変わらずののんびりモードの山行でした。
大菩薩嶺~大菩薩峠は登山口の上日川峠から4~5時間で周回でき日帰りでも十分に楽しめますが、テント場が2か所、上日川峠と20~30分歩いた先にあり、いずれも1泊400円で整地も良く、山とテント泊をのんびり楽しみたい私のようなゆるい登山者やテント泊初心者には最適です。季節ごとに通って四季折々の山を楽しむのも良さそうです。いずれのテント場も焚き火台もバーベキューコンロも使用NGですが、上日川峠のテント場なら車にクーラーを積んでおいてシングルバーナーで肉や野菜を焼くこともできます。
前夜に登山口まで行って車中で仮眠、起床時には青空も出ていて一瞬期待をしましたが登山開始時には全天雲で覆われていました。上日川峠~大菩薩嶺~大菩薩峠~テント泊、大菩薩峠では熊沢山を越えて石丸峠を眺めて戻るコースを取りましたが、終日曇天で時折小雨や霧雨が交じり展望には恵まれませんでした。それでも午後には薄日が差す瞬間もあり、登山道やテント場の状態も悪くなく、静かな周回を楽しめました。
2日目は晴れ、折角なのでテント場から40分くらいで登れる大菩薩峠に登り直して富士山と南アルプスの展望を眺めて戻り、全体とし落ち着いた山の時間を楽しめた山行になりました。
前夜
次の週末に大菩薩嶺へ、と考えたところに台風発生、進行速度も遅く登山は無理かとも思いましたが、9/8(金)夜半には強い風雨は収まる予報も出ており、途中で状況判断して危ないと思えば素直にその場で撤退することにし、まずは登山口の上日川峠には向かいました。深夜に上日川峠に着いて車中で仮眠して朝を迎え、状況が悪くなければ大菩薩嶺~大菩薩峠を回り、テント泊をして帰る計画です。
21時に静岡市の自宅を出発、静岡県から山梨県に入りR20を超えたくらいから路面が乾き始め、R411を走って甲州市に入ると星も見えだしました。塩山でR411から県201に入るまでは順調でしたが再び雨が降り始め、県201を進むと台風の影響も現れて路面一面木の葉や小枝に覆われた状態が続きました。先行車も後続車もなく暗い中慎重に進みましたが、倒木や大きな枝に道を塞がれることもなく23時50分に無事に上日川峠に到着。車の外気温計は17℃、風はありませんでしたが雨は降り続いており、さすがに第一駐車場には先着車と思われる車が1台のみ、第二駐車場は空でした。
初日
~上日川峠登山口
早朝5時に目が覚めました。外気温計は16℃、Tシャツ短パンと夏用シュラフで快適でした。深夜から早朝にかけて私の後にもポツリポツリと車が上がってきており、5時の時点で10台ほどに増えていました。
テント場は上日川峠に1か所(ロッジ長兵衛管理)、20~30分ほど歩いた先に1か所(福ちゃん荘管理)あります。ロッジ長兵衛のテント場は便利で整地もされていますが駐車場とバス停のすぐ上です。翌日日曜が好天だと登山者でにぎわって朝から騒がしいかもしれないので、福ちゃん荘でテントを張ってから登ることにし、福ちゃん荘の受付開始8時にあわせてゆっくり準備して7時30分に出発することにしました。
車も次々と上がってきては登り始めており、出発時には第一駐車場も第二駐車場も満車で200mほど離れた第三駐車場に入り始めていました。
~福ちゃん荘テント場
7時30分に歩き出し7時55分に福ちゃん荘着、福ちゃん荘までは傾斜が緩い林間の気持ち良い登山道でした。8時には少し早かったですが受け付けてくれ、早速テントを設営しました。テント場は小屋の前を少し下がったところで、林間のフリーサイトですが広く整地されており、砂地の平らなサイトもあちこちにあります。先着者はなく私が一番乗り、テント場の端で水場に近い平らな砂地に設営しました。テントを張り終えた頃に2~3人テント泊登山者が入って来ました。ここは一杯にすれば100人くらいOKらしいですが、今年は60名までにしているようです。テントを張った後コーヒーを淹れて一服しました。
~唐松尾根-雷岩-大菩薩嶺
9時30分に福ちゃん荘を出発、唐松尾根から雷岩に向かいました。コメツガ、ミズナラ、トウヒと笹の中を登り、尾根に上がると少し霧が出てきました。風が通って気持ちが良い道ですが、展望はありません。ところどころぬかるみが残っていましたが、端を通れば問題なく、滑るような箇所もありませんでした。頭上が開けてくると岩場も出てきて急になりますが、さほど長い距離ではなく晴れた日は気持ち良く登れそうです。もうすぐ雷岩というところで小雨が降り出しましたが、雨具を着るのも面倒でそのまま登り切り、10時15分に雷岩に到着、その足で大菩薩嶺山頂に行って再び雷岩に戻り登山道の脇の木の下に場所を確保し、お湯を沸かしてカップラーメンのブランチを取りました。小雨は降り続いていましたが、葉が茂った木の下にいれば気にならない程度でした。雷岩の周りは広くなく、雨の中では登山道の脇の木の根元で休むか、雷岩の上の岩陰で休むかしかなさそうでした。また雷岩に登ればそれなりに展望は良さそうでしたが、生憎の雨、どのような展望が登めるかは判りませんでした。
雷岩から大菩薩嶺は5~10分ほどですが、山頂標識があるだけで山頂も途中も晴れていても展望は全くありません。往復の途中沢山の登山者とすれ違いましたが、大菩薩嶺で休む人もいませんでした。大菩薩嶺の山頂に立ったと言うために行くだけなのでしょうか。私もその1人で、写真を1枚だけ撮ってすぐに引き返しました。
休憩中、鹿が1頭姿を現しました。登山者が5mほど近づいて写真を撮っていましたが、特に怯えることもなく暫く佇んだ後、静かに歩き去って行きました。
~雷岩-大菩薩峠
11時10分、大菩薩峠に向け雷岩を出発しました。晴れていれば素晴らしい展望が望めるであろう稜線を歩く、本来なら今回の行程のメインパートです。小雨の中稜線を歩くので雨具の上だけを着て歩き出しました。歩き出してすぐに小雨は止みましたが、霧で展望は全く開けません。晴れていれば・・・と想像しながら時折現れる岩場を越えて少しずつ下りながら歩き続けます。大菩薩峠から大菩薩嶺に向かって歩く人たちとも多くすれ違いました。
賽の河原には11時40分着、その名の通り小岩が広がった窪地のようなところで沢山のケルンがありました。丁度昼時で何組か休憩を取っている方もいました。
そのまま賽の河原の上の親不知ノ頭まで登りました。晴れていればここが一番展望が良さそうですが相変わらずの霧、小さな岩場を越えてすぐ下に見える大菩薩峠と山小屋の介山荘に下りました。
~大菩薩峠-熊沢山
大菩薩峠着は11時55分、山頂標識の周りと介山荘のベンチで大勢の登山者が休んでいました。
ここからは表登山道を下って福ちゃん荘を経由して上日川峠に戻るルートと、熊沢山を越えて石丸峠から直接上日川峠に戻るルートがあります。webで石丸峠の気持ちよさそうな笹原が紹介されていたので行ってみるつもりでいましたが、今夜は福ちゃん荘でテント泊なので熊沢山から石丸峠とその先の天狗棚山を見渡せるところまで進んで、大菩薩峠に戻り福ちゃん荘に下ることにしました。
介山荘でアイスキャンデーを食べて12時15分に出発、森の中、木の根が張った登山道を少し登ります。もう少しで森を抜けるというところで薄日が差してきました。熊沢山の道標を過ぎ少し進むと一気に視界が開けました。
笹原が広がった石丸峠を見下ろす良い景色です。空も雲が薄くなってところどころ薄日も差すようになりました。こちらは雨が降らなかったのか笹も濡れておらず、登山道から少し外れてそよ風に吹かれながら一休み、30分ほど昼寝と決め込んだあと、同じ道を大菩薩峠に戻りました。大菩薩峠から石丸峠までは30分ほどですが、大部分の方は大菩薩峠から上日川峠に下りるか、大菩薩峠に登ってきて大菩薩嶺に向かうのでしょう、ここで出会った登山者はたった一人だけ、石丸峠独り占めでした。
~大菩薩峠-福ちゃん荘
大菩薩峠から表登山道を福ちゃん荘まで下りました。途中富士山が見えると紹介されていましたが今日は全く見えません。この道は介山荘に荷物を上げる車道でもあり、軽が通れる幅の凹凸の少ない道が下まで続いていますが、一見良く整備された登山道で、介山荘の車しか通らないので車道と感じさせず気持ち良く歩けます。峠から35分で福ちゃん荘に着きました。
~テント泊
テント場に戻ったのは14時20分頃、テントは10張くらい張られていました。何かのガイドツアーでしょうか、ロープワークの講習をしているグループもいました。この日は最終的に15張くらいになりましたが、皆ゆったり距離を取っており、私はテント場の端にテントの入り口を外に向けて張っていたので、他のテントも目に入らず足音も耳に入らず、静かに過ごすことができました。
夕食は簡単に、サラダ用のレトルトの鶏肉を一緒に湯で、茹で汁にそのまま粉末スープを溶かした自称スープパスタとハムステーキ。山では茹で汁を捨てられないので、パスタが食べたければスープパスタにするしかありません。パスタは細麺ですが5分茹で、3分茹でなどもあるので便利です。テント場は一段下がっていて外灯なども有りませんからまだ明るいうちに夕食の支度を始めないと面倒です。荷物が重くなりますが、1人用のコーヒーミルとドリッパー、ポットで入れたコーヒーは暗く静かな中では味わいが増すように感じます。電波もありませんからスマホも鳴りません。たまに他の登山者の話し声が聞こえるだけで、本当に静かです。
山の夜は早く、21時には就寝しましたが、他の登山者も寝静まると、鹿たちの時間がやってきました。この辺りも鹿が多いようで、遠くで聞こえていた呼び交わす鹿の鳴き声がどんどん近づいてきて、テント場のすぐ横で大きく聞こえることもありました。テントの隙間から覗いてみても姿は見えませんでしたが、近づいたり遠ざかったりして2時間程続いてようやく静かになりました(というより聞いているうちに寝落ちしました)。
翌日
~再び大菩薩峠
朝5時に目を覚ましました。テントの外を覗くと良い天気でしたので、折角来たのだから登り直して富士山でも眺めてこようかと思い立って急いて支度をし、テントはそのまま残して5時40分に表登山道を大菩薩峠に向かいました。すっかり明るくなっていましたが、この時間はまだ登山口から登ってくる登山者もおらず、大菩薩峠までの道は先行者も後続者もなくすれ違う下山者もいませんでした。
Webの情報や現地の案内板では表登山道の途中も富士山の見晴らしが良いと紹介されていたのでそこまで行って戻っても良いと思っていましたが、富士山は木々の隙間に僅かに見えるだけ、見晴らしが良い場所などなく、結局大菩薩峠の先の親不知ノ頭まで登ることになりました。テント場から大菩薩峠まで35分、更に親不知ノ頭まで10分でしたが、登り直した甲斐があり富士山から南アルプスまできれいに見渡せました。昨日は暗かった登山道も今朝は明るく、気持ち良く往復できました。表登山道からの富士山は晩秋から初冬、落葉が進んでからでないと望めなさそうです。
~下山
7時20分に福ちゃん荘テント場に戻り、改めてモーニングコーヒーを飲んだ後撤収開始、8時15分にテント場を出発し8時35分に上日川峠に戻りました。戻る途中も沢山の登山者とすれ違いましたが、上日川峠も登山者で一杯で、丁度路線バスの1便も着いたところでしたが登山者で満員でした。
ザックをおろし靴を履き替えて9時丁度に上日川峠を出発、途中フルーツ農園に立ち寄っただけで走り続け、11時45分に無事帰宅しました。
上日川峠からの大菩薩嶺~大菩薩峠は山歩きと景色を日帰りでも気軽に楽しめる良い山で、人気がある理由が良く判りました。季節を変えて再来し、今度は稜線からの展望を楽しみたいと思います。もっと混みそうな紅葉の時期は避けて、晩秋や初冬、初春が良いかな。
おまけ
~上日川峠の駐車場事情
今回は台風通過直後ということで、特に土曜の朝は普段とは状況が違ったと思いますが、日曜8時30分に上日川峠に下りた時には第1、第2駐車場はもちろん満車、第3は直接見ませんでしたが第3の方から歩いて来る登山者も沢山いましたし、既に第4の臨時駐車場の案内板が出されていました。バスの1便も登山者で満員でしたし、公設トイレにも行列ができていました。
上日川峠から県201を下る途中でも、路肩の空いたスペースに駐車している車を7~8台見かけました。
Webサイトでは第1駐車場は19台、第2駐車場は20台などと出ていますが、第1は駐車禁止エリアができており、ロッジ長兵衛用のスペース(と思います)もあって、一般車は実質9台くらいしか駐車できません。第2は確かに20台くらい止められます。
深夜、風雨で荒れた後の県道201は細く暗く感じましたが、明るい時間に走るとすれ違いの不安や走り辛さは感じませんでした。
~立ち寄り湯
R411と県道201の分岐点に大菩薩の湯という立寄り湯があります。甲州市の施設で市外在住者も620円で3時間まで入れるようですが開湯が10時、今回は残念ながらパスしました・・・というよりこのような施設は大抵開湯が10時~11時、今回のようにテント泊をして朝帰る場合には時間が合いません。早めに帰宅して洗濯、テントとシュラフ干しなどの片づけをしなければなりませんから。
~フルーツ農園
R411が旧甲州街道とぶつかって大きく折れる甲州市勝沼町の辺りにはフルーツ農園が沢山並んでいます。
金曜の夜、上日川峠に向かっている途中、何軒かで「アウトレット品」と書かれた看板を見かけていたのでそのうちの1軒、福寿園さんに立ち寄って、白桃と3種のぶどう(ベリーA、雄宝、紅●●?だと聞きました)を買いました。それぞれ500円、房が小さかったり傷があったり陽に当って色が薄くなったり、というアウトレット品ですが、味は良く自宅用には良いお土産でした。もちろんぶどう狩りもできますし、贈答にも使える立派なぶどうも売っています。