海ときどき山、ところによりキャンプ

オヤジの緩いアウトドアライフ

山行記(2)-2 2023年富士登山 あとがき

・あとがき

 富士山は誰でも登れる山と言われたりもしますし、国内外から観光気分で登る登山者も多いですが、それでも日本一標高が高い山です。気温は100m上がると0.6~0.7℃下がると言われますし、高山病は標高2500mくらいから発症、高齢者は1500mくらいからでも発症する可能性があると言われますが、登山口で最も高い富士宮口は標高2380m、吉田口2300m、須走口1970m、最も低い御殿場口でも1440m、登山口でも高山病発症リスクがある標高です。

天候が良い夏の日の昼間は山頂でも半袖でもいられますが、悪ければ10℃以下になることもあります。夜も一気に冷え込みます。雨に降られても風に吹かれても冷え込みます。今回山頂では長袖のTシャツに薄い長袖のジャケットで丁度良かったのですが、下山中あられが降り出すと一気に冷え、ジャケットの下に薄いダウンを着込まなければなりませんでした。

独立峰は天候が変わりやすく、晴れていたのにあっという間に雲に覆われたり、周りは晴れているのに富士山の上だけがすっぽり雲に覆われていてその中は暴風雨で、途中で引き返したこともありました。私は10回以上登っていていずれもできるだけ天気が良い日を選んでいますが、大抵は登りでは晴れていても下りは曇り、悪い時は今回のように雨やあられに降られたりしますし、1日晴天が続いた日は2~3回です。冬、静岡県側では雪が降って白くなった山肌があっという間に白黒のまだらになりますが、それは強い風で雪が吹き飛ばされるからです。富士山の山肌から東側に白い雲が吹き出ているように見えるのは風で飛ばされている雪だったりします。富士山の上で強い風雨にさらされれば岩陰に隠れても無駄、山小屋以外に逃げ場はありません。

富士登山は、傾斜がきつい岩場と砂の高山を登り続ける「登山」であって登山風のレジャーではありません。

でも、自分に合った計画を立ててしっかり準備を整えた人には登れる山になってくれると思います。足元、暑さ寒さ、天候不良、水と食料、悪天になった時にどうするか、自分や同行者がバテたり体調不良になった時にどうするかなどを考えて余裕を持ってルート、ペースと時間配分を決めれば登れる山になってくれます。

私は地の利があるので早朝に登り始める日帰り型ですが、例えば富士宮ルートの2023年のシャトルバスの登り始発は6時、下り最終は19時でした。始発に乗って7時から登り始めても最悪19時までに5合目に下りればバスに乗れますから、5合目-山頂の往復で最大12時間かけられます。往復距離8.5kmを12時間で歩けば良いとなれば、思う以上にゆっくりしたペースですよね。計画的に休憩もとれます。ガイドや年配のベテランの後をついて歩くと、馴れないとまねができないくらいの本当にゆっくりしたペースです。でも追い越して登って先の山小屋で休んでいると、いつの間にか追いついてきています。富士山に登る時、登山ガイドさんを見つけて観察してみてください。こんなにゆっくりでも良いんだと思いますから。飛ばしたり休んだりせずにゆっくり歩き続けることがコツのようです。

体力が不安だったり、どうしても朝から登れなければ、あるいは御来光を見たければ小屋泊まりで計画すれば良いだけです。2泊して山頂を極めている超年配の方もいらっしゃると聞きます。あとは状況悪化時の判断ですね。山小屋の予約をしていても、きちんと連絡すれば相談に乗ってくれるのではないかな。。

もう一つ、よくコースタイムやルートタイムとか標準時間とか言われますが、較べると結構バラバラです。私の知る限りWebサイトやガイドブック、パンフレットなどで見いろいろありますが、登山用品店なども重要な情報源ですよね。テレビの情報は当てになりません。富士登山のシーズンは弾丸登山や外国人の軽装登山のトラブルばかり、何をしてはいけないかは放映されますが、どうすれば良いか、どうすれば貴方が登れるかは教えてくれません。