海ときどき山、ところによりキャンプ

オヤジの緩いアウトドアライフ

大弛峠から金峰山

大弛峠

大弛峠から朝日岳

朝日岳から金峰山

金峰山山頂、五丈岩

下山

ワンポイント

 

 

久し振りのテント泊登山

大弛峠から金峰山

 6月中旬の土日、金峰山に登りテント泊をして来ました。昨年はいろいろトラブルもあって一度日帰りで富士山に登ったきりでしたので久し振りの登山、足慣らしを兼ねてテント泊も楽しみながら山の空気を味わうのが目的でした。

金峰山にはこれまで登ったことがなく登りたい山リストの上位でしたし、標高2360mの一般車両が通過できる日本一高い峠という大弛峠でテント泊をしたいとも常々思っていたところに、梅雨の中土日2日間晴れの予報が出たので、迷いなく大弛峠からの金峰山を選びました。大弛峠ならアプローチしやすくテント泊も当日受付で予約不要と聞いていましたし、最悪テント泊ができなくても日帰りでも登れますから。

 

大弛峠

 静岡を夜22時30分に出発、中部縦断道の増穂ICで降りて国道140号で山梨市牧丘へ、牧丘からクリスタルライン、林道川上牧丘線を走り大弛峠に着いたのは深夜1時30分、既に峠の駐車場は一杯で峠の手前の路肩にも駐車列ができ始めていましたが、駐車場の前のやや広くなった路肩に車1台分抜けているところがあり、すかさずそこに停めて仮眠しました。

私は朝食とテント泊受付、テント設営を済ませてから、金峰山を目指し10時くらいに登り始めましたが、早い人は朝4時半頃には金峰山国師ケ岳を目指して登り始めており、早々と戻ってきた人も多く見かけました。

駐車場からは視界は限られますが韮崎や北斗方面(・・・だと思います)までの山並みとその向うの南アルプスの山々が見え、この駐車場も随分遠く高いところにあるのだと感じさせてくれます。

大弛峠から

大弛峠鳥瞰図

金峰山登山口

大弛峠から朝日岳

 大弛峠から金峰山へは朝日峠→朝日岳→鉄山→金峰山とたどります。大弛峠の標高2360mに対し金峰山は2599mですから標高差は約240m、累積標高は約400mで片道km距離4.1kmとのこと。しばらくシラビソの森の中を登り、やがて足下に大きな岩が現れ出すと稜線に出て、左手に富士山が見えてきます。一度朝日峠に下って再び登り朝日岳の手前のガレ場で一気に富士山から南アルプスにかけての展望が開けます。さらに進んだ朝日岳山頂も狭いながらも展望が開けていて、目指す金峰山山頂の五丈岩もまだまだ距離を感じさせながらもはっきりと見えてきます。大弛峠から朝日岳までおよそ1時間、登山道は整備されていてきつい登りもなく、晴れた日の稜線は日差しがきついですが風も抜け、気持ちよく歩けます。朝日岳も手前のガレ場もどちらも景色の良い休憩ポイントです。

シラビソの林の中を登ります

稜線に出ると左手に富士山が・・・

稜線を歩きます

朝日岳手前のガレ場を登ると丹沢-富士山-南アルプスの展望が・・・

朝日岳山頂からの富士山

朝日岳山頂からの金峰山

朝日岳から金峰山

 朝日岳からは一度急降します。といっても傾斜がキツいだけで距離はさほどありません。シラビソの中を再び登って50分~1時間、一気に視界が開けるとそこが賽の河原、すぐ先が金峰山山頂です。朝日岳からの登山道の様子は朝日岳までと変わりませんが、こちらは稜線の少し下を歩くので、周囲の山々の景色は賽の河原に着いてからのお楽しみになります。

賽の河原から

賽の河原から金峰山山頂へ

金峰山山頂、五丈岩

 賽の河原と五丈岩との間に大岩が積み重なった金峰山のピークがあり、ピークのこちらと向こうは互いに見通せないので、ほとんどの方は賽の河原で止まらずにピークと五丈岩に向かうようで、座って休んでいる人は多くありません。しかし賽の河原からの展望も見逃せません。北はすぐ目の前にロッククライミングの聖地小川山、遠く浅間山甲武信ヶ岳などの山々、右手に富士山と丹沢の山々、左手に瑞牆山八ヶ岳蓼科山北アルプスの山々が見渡せます。

金峰山のピークは積み重なった大岩の上、360度の大パノラマですが、狭い上に五丈岩に向かう人、五丈岩から戻る人が行き交うのでゆっくりできません。岩を踏み外すと危険でもあるので、景色はピークを外したところで楽しみましょう。

ここが金峰山のピーク

ピークに近づくと五丈岩がその黒々とした威容を現してきます。単なる岩の重なりなどではありません。金峰山山頂は昇仙峡の上にある金桜神社の奥宮、五丈岩はご神体だということですが、超自然的な力で何者かに置かれた巨大な岩塊、まさに五丈岩が金峰山山頂に鎮座ましましている、という姿です。

こちら側からも丹沢から富士山、北岳甲斐駒ヶ岳など南アルプス乗鞍岳八ヶ岳まで見渡せる素晴らしい景色です。富士山は少し雲に隠れがちでしたが、好天で風もなく素晴らしい景色を堪能しました。梅雨の合間、大弛峠までの林道が開いて初めての晴れた土曜日ということで山頂には100人以上の登山者がいましたが、山頂付近は広く開けているのでさほど混みいった感じはしません。皆さん思い思に座って休んだり昼食をとっています。ただし日陰がほしいのであれば五丈岩の足下に限られます。半日陰でしたが、私も五丈岩の裏側に場所を見つけ、軽食と山コーヒーを楽しみました。

五丈岩 威容は写真ではなかなか伝わりません

瑞牆山八ヶ岳

南アルプスの山々

山コーヒーを入れて・・・

展望を楽しむ

 実は私、この冬にいよいよおじいちゃんになる予定です。五丈岩は金桜神社のご神体、金桜神社は金運神社で有名で安産祈願に良いとは聞いたことはありませんが、「子宝」と考えれば十分守備範囲でしょう。五丈岩に安産とその子がお金に困らないように、私が孫にあげる小遣いに困らないように、と祈ってきました。どうかよろしくお願いします。

五丈岩の足下に咲いていたイワカガミ

ピークを囲むようにキバナシャクナゲも咲いていました

下山

 今日は登山口でテント泊、帰りを急ぐ必要はないので山頂でゆっくり1時間過ごし午後1時過ぎに下山を開始、来た道を戻ります。登山口と山頂の標高差がないので、下りも登りと同じくらいの時間がかかります。下り始め、シラビソの林の中に入ってすぐ、林の奥に2頭の鹿を見かけました。写真を撮りましたがこれでは良くわからないですね。山頂では雲がかかりがちだった富士山も下りの途中では再び顔を見せてくれました。

午後3時に無事登山口に戻りました。金峰山荘にでも泊まるのでしょうか、途中30人くらいのグループとすれ違いましたが登っていく人もめっきり減り、下山者も少なくなってきました。峠の駐車場には迎えのタクシーが何台か待機していましたが、空きスペースもでていました。今夜は久々の山テント泊です。

この中に鹿がいるはずですが判りませんね

金峰山を振り返る

富士山を眺めながら最後の一休み

18時 駐車場から

峠の周りもずいぶん静かになってきました

ワンポイント

  • 登山道

登山道は整備されていて歩きやすく道迷いの心配も少ないです。実際に道迷い遭難はほとんどないそうですが、怪我の事故は年間30~40件あるそうです。朝日岳の前後の急登降と金峰山のピークの大岩の連なりは足下に注意、特に金峰山のピークは大岩の間に足を落とすとはまり込んで思わぬ怪我をしそうです。

  • トイレ

トイレは大弛峠駐車場の公衆トイレだけ、金峰山国師ケ岳も行程にトイレはありません。大弛小屋のトイレは小屋利用者オンリーです。公衆トイレは小さく(女性用はわかりませんが、男性用は小2大1だけ)、特に朝は順番待ちで並ぶこともあるので余裕を持って。残念ながらお世辞にも綺麗とは言えません。紙のロールは幾つか置かれていましたが、補充のタイミングがわからないのでマイロールを用意しておくほうが無難かもしれません。

  • 水場

金峰山までの行程に水場はありませんから必要な水は持って登ります。大弛小屋には水場がありますが、宿泊者、テント泊者以外は1回100円と書かれていました。

峠の駐車場には自販機もありませんし、トイレの手洗い用以外に水栓は見かけませんでした。9時を過ぎれば大弛小屋で水や清涼飲料のペットボトルは買えます。

  • 道路事情

牧丘から大弛峠までは林道とは言っても全線舗装され、ストレスなくすれ違える道幅もあり、深夜でもさほど怖い思いをすることなく走れました。とはいえやはり林道、急な勾配とカーブが続きますし、カーブを曲がった先に突然落石があることも。ツーリングのバイクや車なども多く気を抜かないようにしましょう。

また特に夜間は鹿が道路に出ているので要注意、実際に私も今回往路で鹿4頭、おまけでたぬき2頭を見ました。鹿とまともに当たると車に結構な被害が出るようです。

  • 駐車事情

峠の駐車場は、本来の駐車スペースに加え周辺のやや広くなったところを加え40台くらいは止められそうですが、人気の山域なのですぐに一杯になってしまうようです。駐車場の先は川上村につながる林道ですが未舗装なので、峠の手前の林道に路肩駐車することになり、休日はかなり下まで埋まることもあるようです。

今回1回だけの観察ですが、10時を過ぎると下山して駐車場を出ていく車が出始めます。この時間はタイミング良く下から上がってきた車がすぐ入れてしまいますが、15時くらいになると空いたままのスペースが数台分ありました。17時には下山者を迎えに来たタクシーも居なくなり本体の駐車スペースにだけ停まっている状態、本来のスペースも2~3割は空いていました。夜21時過ぎに駐車場のトイレに行き同じような状態が続いていましたが、様子が変わったのは深夜になってからです。23時くらいになると上がってくる車が現れだしました。

24時くらいには車が増えて、駐車場の先の未舗装の林道に乗り入れたり、戻っていく車がでだしましたので、この時点で駐車場はほぼいっぱいになっていたのだと思います。もちろん翌朝4時半には前日土曜日の朝同様になっていました。少しでも登山口に近いところに駐車したい、車中泊を厭わない、と思うのであれば午後14時~15時以降23時頃までに来るのが良さそうです。

ちなみに駐車場の端、国師ケ岳の登山口(大弛小屋の入り口)付近に緊急車両用の駐車禁止エリアがあり、路面に白い斜線が引かロードコーンが置かれていますが、夜間は判りにくいのか確信犯なのか判りませんがそこにもしっかり駐車されています。林道なので管轄も違い警察の取り締まりなどはないようですが、万が一遭難事故などで緊急車両が入って邪魔になった場合には麓までレッカー移動されてしまい、下りてきたら車がなかった、レッカー移動代や送迎のタクシー代で10万円近くなることもあるそうなので要注意。

朝7時の駐車場

15時過ぎの駐車場
  • テント場

テント場は緩やかな傾斜の林間で下は土、ペグも入りやすいです。それぞれのサイトに番号が振られており24サイトありましたが詰め込まれた感じはしません。サイトの大きさは様々で、ソロテントしか張れないサイトもあれば4~5人用でも張れるようなサイトもありましたが、今回はテントが混みあうことを予想して小屋の主人が人数やテントの大きさを聞きながら少しでも静かなようにと駐車場から離れた方から詰めるようにサイトを割り振っていました。ただこの日は予想に反して埋まらず、夕方には好きなサイトに移動しても良いと言われました(面倒なので移りませんでしたが)。空いていれば好みのサイトを指定することもできるようです。

テント泊は9:00~9:00、大人一人1000円、小学生500円、未就学児無料ということです。縦走者の利用も多いようで2人見かけました。登山者風でしたが駐車場に近いので大型のクーラーや椅子、テーブルを持ち込んでいるグループもいましたし、登山者ばかりでなく一般のキャンパーも来るそうで、今回も小学生と未就学児を連れた親子4人のファミリーキャンパーもいました。ただし焚き火や炭は禁止、以前一般のキャンパーの焚き火の火の粉が登山者の高額なテントに飛んで穴を開け大きなトラブルになって禁止にしたそうです。

小屋の受付兼売店兼食堂は9時から16時まででもちろん食事もできます。駐車場が近いので、余分な荷物を車に入れてしまえば狭いテントもゆったり使えます。テント場はもちろん小屋の周り、駐車場にも外灯はないのでヘッドランプやランタンは必須です。

テント泊者はトイレは駐車場の公衆トイレを使用、水場は小屋の横にあり山から引いた水がホースから出ていてテント泊者は無料で使えます。

ちなみに6月17日のサイトの気温は18時13.6℃、20時9.5℃、22時9.5℃、翌朝4時8.4℃でした。

 

歩いたルート