海ときどき山、ところによりキャンプ

オヤジの緩いアウトドアライフ

富士登山

まもなく富士山山開き

日帰り登山(私の富士登山スタイル)

日帰り登山(私の登山パターン)

下山ルート

富士宮ルートのアドバイス

 

まもなく富士山山開き

 今年もまもなく富士山の山開きですね。吉田口、御殿場口は7月1日、富士宮口、須走口は7月10日が山開き日のようです。新聞で読みましたが、すでに今シーズン山小屋は全ての金土曜が満員、平日もかなり埋まっているようで、定員減(コロナ禍で定員を減らしてそのまま詰め込みをやめた小屋も多いようです)のところに行動緩和で登山者が増え、海外からの団体予約もどんどん入り・・・、弾丸登山の増が懸念されており、登山者数制限の話も出ているようです。

山頂を目指して

日帰り登山(私の富士登山スタイル)

私は静岡県民ですが、初めて富士山に登ったのは50才の時です。その気になればいつでも登れるから・・・と思っていて気が付いたら既に50才、体力が激落ちしている自覚もありこのままでは登らずに逝ってしまうかも(大袈裟)、と一念発起して家族を誘って登りました。以降新型コロナで閉山した年を除き毎年1回登り続けており、他の山に登るときには富士山のルート定数(歩行距離、高低差、行動時間をもとにそれぞれの山、ルートの難易度を同じ計算式で算出して指数化したもの)と比較して難易を確認しているので、今後も体力確認も兼ねてできるだけ登り続けようと思っています。

私も初めて登った時はご来光を山頂で見ることを目指して夜中に登る、いわゆる弾丸登山でした。午後遅くにシャトルバス乗り換え駐車場に着いて車中で仮眠、夜7時過ぎのバスで富士宮口5合目に上がり8時頃から登り始めて山頂に着いたのは早朝4時頃でした。ご来光は雲間から何とか見ることはできましたが、足元しか見えない暗闇の中前の人を追ってただただ登るだけ、今どの辺りにいるかも先の状況もわからない不安さ、8合目からの渋滞、ご来光を待つ間の山頂の寒さに懲りました。また机上プランだけで考えて下りは御殿場ルートを選んでしまい、先が見えない濃霧の中だらだらと長い下山道を、疲れた足を砂に埋めて更に疲れさせながらとぼとぼ降りたことにもすっかり懲りました。

そこで、以降は同じ日帰りではありますが、朝から登って午後遅めに下山する日中登山に変えています。

なにより明るい中足下の景色や流れる雲、霧を見ながらの登山の方が気持ち良いですし、登頂渋滞にも巻き込まれなくて済みます。自分では余裕をもって登っているつもりですが、日帰りだと弾丸登山といわれてしまうのでしょうか。

雲海

日帰り登山ができるのは私が静岡県中部在住で、好きな時にマイカーで行け、登山日程の自由度に恵まれているからでしょう。いつも富士宮口から登りますが、5合目登山口へのシャトルバス乗り換えの水が塚駐車場まで、深夜早朝なら自宅から車で2時間もかからないので、装備の準備さえしておけば、天気が良さそうだから明日登ろう、天気が悪そうだから1週間延期しよう、とその時の状況や体調で自由に調整することができますし、登山を始めてから天候が悪化しても、また来週来ようと途中でやめて引き返すこともできますから。

しかし山小屋の予約や往復の行程の手配、金銭や時間の負担を考えると、小屋泊りの方、遠方からの方は多少頑張ってしまうかもしれませんね。ただそれなりの準備、装備をしていれば、それも登山の一つだと思います。

日帰り登山を弾丸登山と言われるのには抵抗があります。誰でも登れる山くらいの感覚で、あるいは観光気分やグループならではの高揚感だけで考えなしに準備不足で登る観光登山やスピード登山、Tシャツに短パン、スニーカー(ひどいケースはサンダル履き)、100均カッパなどの軽装登山が危険なのだと思います。途中で潰れている登山者はいずれもこの手の人たちでこれは日本人も外国人も同じですが、今は外国(特にアジア圏)の方たちが多いように思います。

以前、どこかのチャンネルで革靴Yシャツで両手に手提げの荷物を持った年配者が苦労しながら登っている姿を得意げにドキュメンタリー風に放映していましたが、馬鹿番組、馬鹿TV局でしたね。

下界を見下ろす

 登り始めの2年間くらいはよく御殿場の米軍基地の米兵も登っていましたが(最近見かけないのは私が盆休み期間を避けるようにしているからかも知れません)、6合目7合目くらいで勢いよく私を追い越して登って行った筋肉隆々の米兵たちが、8合目を過ぎたところで登山道の脇にへたり込んでいる姿もよく見かけました。

富士山は誰でも登れる山とはいってもそれなりの準備をしてこそ登れる山、日本一標高の高い山ですから。5合目から上は「登山」、同じ日帰り登山でも「登山」という意識の有無が危険度を大きく分けるのだと思います。

私の登山パターン

私のいつもの行程はこんな感じです。大抵はゆっくり構えられるよう、盆休み前後のピークを外した土曜日に登ります。私は他の山に行っても登山マップの標準コースタイムか少し遅いタイムで登る体力度です。

前夜11時       自宅発(途中コンビニで水、食料買い出し)

➡0時30分            水が塚駐車場着、車中で仮眠

➡5時         登山準備

➡6時         シャトルバス始発で水が塚駐車場発

➡7時         富士宮口5合目着、身支度して登山開始

➡12時~13時30分頃 山頂着(天候、体調や込み具合でけっこうバラバラ)

➡13時~14時30分頃 山頂発(時間、天候や体調で参拝だけ、剣ヶ峰、お鉢巡りなどその時々)

➡15時30分~17時頃 5合目着、最短のシャトルバスで5合目発

➡16時~17時30分頃 水が塚駐車場着

➡帰り支度出来次第水が塚出発

富士宮市スーパー銭湯で1~2時間炭酸泉に浸かり、筋肉痛用のクリームを塗りたくる

➡新東名の清水SAで夕食をとる

➡帰宅(20時~21時)

 

山頂では昼食、富士宮浅間大社奥宮参拝後、天候や時間次第で剣が峰に登ったり、お鉢を回ったり、そのまま下りたりします。また下山ルートは4パターンでこれも天候と時間、体調次第です。

水が塚駐車場から 夜明け前

水が塚駐車場から 夜が明けます

水が塚駐車場から 青い空と茜の雲

登って来る人も 降りて行く人も

定員が減って小屋泊まりも良いかも(小屋は大変ですが)

この先富士宮大社の境内

下山ルート

登りは富士宮ルート一択ですが、毎年山頂での行動や下りのルートを変えています。天候で山の顔も変わり、山頂での行動や下りルートを変えることで、毎年登っても飽きたと思ったことはありません。この年齢になると登頂時の達成感も変わりませんし、前年より楽に登れた時はより嬉しくなります。

ほとんどの方は登ってきたルートを引き返しますが、これも天候や体調、時間の余裕次第ですが途中まで別ルートを降りて富士宮ルートに戻ったり、水が塚駐車場まで戻ることができます。私は実際にその時々でルートを変えています。

❶そのまま富士宮ルートを下る。

 登山道=下山道、大きな段差の。岩場を急降します。5合目まで2時間半から3時間くらいですが、道幅が狭いところが多く、午後の下山では登山者とのすれ違いで待たされることが多くなります。スパッツは不要です。

❷御殿場ルートを降り、途中から宝永山の下を抜けて富士宮ルートの6合目に戻る。

 下山時間は❶プラス1時間くらいです。❶に比べ傾斜が緩く、岩場というよりは岩混じりの砂礫道という感じでしょうか。途中に1軒山小屋があります。途中少しですが「砂走り」が味わえ、スパッツが役に立ちます。

宝永山や宝永火口など景色の変化もありプラス1時間は苦になりません。時間と体力があれば宝永山に登ることもできます。森林限界のすぐ上を富士宮ルート6合目に戻ります。

❸御殿場ルートを降り、途中から宝永山の下を抜けて須山ルートを少し下り、樹林帯の中を富士宮口5合目に戻る。

 宝永山を過ぎるところまでは❷と同じですが、森林限界まで少し下って、森林限界の下を5合目まで戻ります。

❹そのまま御殿場ルートを降りる。

  「砂走り」の中、砂に足を取られながらひたすら下ります。砂は足首が潜る深さなのでスパッツは必須

  傾斜が緩く単調な下山道をだらだらと長い時間ひたすら歩き続ける感じです。御殿場ルートを下り切っても、水が塚駐車場まで路線バスが出ていて問題なく戻れますし、直接御殿場駅などに下りることもできます。

  • その他まだチャレンジしたことはありませんが、❸の須山ルートをそのまま下り切れば水が塚駐車場に出ます。

❶は5合目まで2時間30分から3時間、❷❸はプラス1時間くらい、❹はプラス2時間くらいです。❷❸は途中に1軒山小屋もありますし、景色の変化も楽しめプラス1時間は気になりません。また❶が段差の大きな岩場を急降するのに対し、比較的段差が小さく緩やかです。❷は森林限界のすぐ上を、❸は森林限界の下を富士宮ルートに戻ります。少しですが「砂走り」感も味わえスパッツが役に立ちます(❶はスパッツ不要です)。❹は❷❸との分岐前から延々砂走り、傾斜は緩いですが単調で、砂で歩きにくい中をただただ下り続けます。

なお❹の御殿場口を下り切っても、水が塚駐車場まで路線バスが出ていて問題なく戻れますし、直接御殿場駅などに下りることもできます。

また、まだチャレンジしたことはありませんが、❸の須山ルートをそのまま下り切れば水が塚駐車場に出ます。❹から水が塚駐車場まで下りるハイキングコースもあります。

 

富士宮ルートのアドバイス

富士宮ルートに限られますが、初めての方への私なりのアドバイスです。

①水が塚駐車場はシーズン中24時間開いていて前夜、深夜に入って車中泊や仮眠もできます。個人的には朝早く家をでてそのまま登るより、4,5時間仮眠をして登る方が楽です。

午後早めの時間は下りてきて出る車と、午後から登るために入ってくる車が入れ替わり、やや混雑しているように思います。午後も遅めになると出る車が多くなり止めやすくなってきます。山小屋1泊の登山者の車は奥の方に誘導されるようです。早朝に入る日帰り登山者はシャトルバス発着所に近いエリアに誘導されることが多いです。

車中泊や仮眠中、エンジン掛けっぱなしは周囲の迷惑になりますが、標高1450mにある駐車場、夏でも結構冷え込みますから毛布やシュラフの用意を。

②時刻表ではシャトルバスは始発から1時間毎になっていますが1時間に1本ということではありません。登山者の数に合わせて連続して数台でますし臨時便も出たりしますから、順番待ちの列が長いように見えてもさほどイライラすることなく乗れるので落ち着いて。また補助席までフルに乗せますから、バスに乗ったらとにかく奥から詰めて、連れと並べなくても空いている席に座ること。リュックは膝に抱えます。

シャトルバスの乗車時間は30分ほどですが、補助席まで満席で、膝に荷物を抱えた状態で急なカーブが続く中を揺られながら登ります。始発の時間帯は朝日が真横から差込んで眩しく、ゆっくり寝たり飲み食いできる状態ではありません。朝食はバスの中でなどとは考えないこと。

④5合目着、シャトルバスを降りると少し階段を上っていよいよ登山口です。トイレと小さな売店がありますが、始発の時間は売店は開いていません。水が塚駐車場の売店も開いていませんから、早朝から登り始めるのであれば必要なものは駐車場に入る前に買っておくこと。登り始めれば上の山小屋の売店は開きだします。駐車場に上がる途中のコンビニやガソリンスタンドに「最後の~」などと謳われていますがこれは本当です。

⑤値上げの話もありますが登山協力金は現時点で1000円です。富士宮ルートでは缶バッチとゴミ袋をくれます。強制ではなく任意が建前ですし、高いと思う人もいるでしょうが、登山ルートや環境整備にはお金もかかりますし、記念品の缶バッチを買ったと思いましょう。水が塚駐車場のシャトルバス乗り場の前、5合目登山口横に徴収所があります(徴収所の周辺にはボランティアらしき人が大勢いて、この方々が無償か有償かは知りませんし、有償だとしても協力金から出ているかいないかも知りませんが、どちらにしろ1mごとに声掛けで並んでいたり暇そうな人もおり、ここまで要らないだろうとは思います)。

⑥以前は高山病予防のため5合目で1時間ほど過ごしてから登るように、などと言われていましたが、今は高度順応しながらゆっくり歩けばと、皆さん準備が整い次第登り始めています。私も準備が出来次第(といっても靴紐を締めたり帽子を被ったりするくらいですが)登り始めますが、意識して自分でもイライラするくらい、意識してゆっくり小股で歩くようにしています。これで山頂に着けるの?と不安になりますが、山頂までの一般的なコースタイムは5~6時間、山頂までの歩行距離は5km強です。単純に考えたら1kmを歩くのに1時間以上かけて良い、ということです。午後遅めの時間に下山しているとガイドさんに連れられた小屋泊まりの登山者グループとすれ違いますが、ガイドさんの歩き方を見ると本当に小股でゆっくりです。交互に足を出して歩くという感じではなく、両足をしっかり地面につけたら次の一足をつま先の前に出す、というような感じです。

5合目から6合目までは散歩気分でも歩ける斜度なので意識してもついつい歩行速度が速くなりますし、6合目から7合目もまだまだ緩やかですが、ここでいかにペースを作っておくかがその後に影響します。

⑦登山で水は大事です。富士登山では水は1.5Lとか2L必要と言われますが1Lは1kgです。高いですが(500ml1本500円くらい)シーズン中は途中の山小屋で買えますから水は途中で買い足してザックを軽く、というのも考え方です。私は500ml~600mlくらいのペットボトルを2本持って登り、1本目が空になってきたら次の小屋で1本買い足すようにしています。次の小屋に着くまで1時間以上かかったなどということもあるので、余裕を考えて。

また2Lと言われたからと2Lのペットボトルを抱えて登る人も見かけますが、これはダメですね。余分なものを手に抱えて登ると疲れます。リュックに入れてしまうと出すのが面倒になって飲まずに頑張ってしまい、結果バテたりします。また我慢してから飲むと量が多くなってしまい、尿が増えてしまうように思います。ザックのバックポケットやサイドポケットに差し込んでいる人もいますが、ザックを降ろさずに取れれば良いですが、ザックを降ろさなければ取れないのならこれも結構面倒です。

ザックの中に入れた水のタンクから口元までホースを出すシステムもありますが、私はショルダーベルトの胸に取り付けたボトルホルダーにペットボトルを1本差して登っています。これだと登山中のちょっとしたタイミングで、のどが渇く前に少量を回数を多くして飲むことができ、必要な水分だけをしっかり取ることができます。結果水を1.5L以上飲みながら一度もトイレに行かずに山頂まで行ってしまうことも多いです。

なお、登り初めの頃、本当にバテてしまった時がありました。水とお茶、スポーツドリンクを持っていましたが、味の濃いスポーツドリンクは口が受け付けませんでした。お茶すらも飲みにくく、飲めたのは水だけでした。そこまでバテないようにすることが大事ですが、それからは水分とエネルギーやミネラル源は別に考えるようにしています。

富士宮ルートでは、水が塚駐車場のトイレは無料、五合目登山口とそこから少し上ったところにある公衆トイレは任意チップ制ですが、そこから上のトイレは全て有料で1回200円です。小屋と小屋の間隔が長く場合によっては1時間以上かかるような場合もあり、とにかく早め早めに行っておく方が良いです。人目も多く、ルートから外れるのは危険でもあり、途中でちょっと隠れて、というのは出来ません。

⑨登山ではよく登り始めの30分で1回休み、後は60分~90分歩いたら10分休むのが良い、などと言われますが、富士宮ルートでは山小屋ごとに休むとだいたいこのペースです。ですが、皆さん同じように休むので、山小屋前はどこも混雑しています。特に富士宮ルートは山小屋の前のスペースが狭く、ベンチも埋まっていて落ち着きません。おすすめは小屋を通り過ぎたところで休むことです。

富士宮ルートでは大抵山小屋を過ぎたところが少し開けています。ベンチはありませんが少し落ち着いて休めますし、岩に腰掛けたりすることもできます。そこで荷物を置いてトイレに戻っても苦になりません。休憩は小屋を過ぎたところがおすすめ。もちろんつらい時は途中で休んでもOKです。腰を掛けるのにちょうど良い岩もたくさんありますが、狭いところは避けてなるべく広いところで、端に寄って休んで下さい。

経験的には小屋と小屋の間では、座り込んで小休止をするよりは少し立ち止まって水を一口飲んで一息つく、これを繰り返すほうが楽に感じます。

⑩多くの山は登り下りを繰り返しながら山頂に近づいていきますが、富士山は登る一方です。最初から見えている山頂を目指してひたすら上り続けます。1歩歩けば1歩分確実に距離が縮み、高度が上がります。登山道ひと折れひと折れごとに距離が縮み、高度が上がって山頂が近づきます。絶望的に高く遠くに見えていた山小屋が、頑張って頑張ってふと見上げたらすぐ上にあった・・・この繰り返しです。あきらめずに登りましょう。

⑪天候には気を付けましょう。山の天気は変わりやすいといいますが、それは富士山も同じです。極端な場合麓は快晴でも山頂近くですっぽりかぶった雲の中だけ暴風雨、などというようなこともあります。富士山では雨は下から上に向かって降る、というのは本当です。

私は恵まれていて天候を選んで登ることができますが、それでも一度8合目から引き返したことがあります。その日は下界は快晴で富士山の上をすっぽり覆う以外に雲はなく、いかにも登山日和に思えました。もちろん躊躇なくシャトルバスに乗りました。5合目に着いても状況は同じで7合目位から上を覆うような雲があるだけ、風もなく山頂に着くころにはもしかしたら雲も切れるかも~くらいに思って登り始めましたが、7合目を過ぎて雲の中に入ると状況が一変しました。まず風が吹き始めました。次いで雨が降り始めました。新7合目を過ぎると風と雨が強まり、横殴りになってきました。8合目まで頑張りましたが、風も雨も斜め下から吹き上げてくるようになり強くなるばかりだったので、私はそれ以上の無理をしないで引き返しましたが、同じように引き返す人がたくさんいました(もちろん強行して登り続ける人もいましたが、小屋泊り以外の人はその後どうしたのでしょうか)。

7合目から上を覆う雲の中は暴風雨でした

この時に思ったのは雨具の大事さです。特に富士山は気軽に登る人も多く、雨具といっても100均やコンビニで買った薄いカッパを着た人を良く見かけますが、体に巻き付いたりめくれあがって下半身からずぶ濡れになってイザというとき役に立たず防寒着にもなりません。冷えるし動きも妨げられるし一気に体力を奪われます。

一度登るだけだからもったいないと思うかもしれませんが、時には命に関わる大事なものです。高い登山用でなくても良いですから、防水透湿性の高いそれなりの上下タイプのレインウェアを選びましょう。性能を見て選べば普段使いもできるワークマンのレインウェアでもOKです。

※一般に防水性は耐水圧○○mm/1㎠、透湿性は○○mg/㎡/24hrと示され、数字が高いほど防水性が高く透湿性が上がりますが、防水性と透湿性は相反するものでもあり、例えば防水性を上げるためにはゴムで塗り固めてしまえば良いですが、透湿性は0になってしまい、バランスが大事です。運動してかいた汗を放出できなければ、レインウェアの中で結露して溜まって衣服や身体を濡らして気持ち悪い思いをしたり身体を冷やしてしまいます。

耐水圧は嵐で20000㎜、大雨で10000㎜くらいと言われます。また濡れたところに座ったり膝をつくと10000㎜程の力がかかることもあるそうです。透湿性は、登山やランニングなどの激しい運動では1時間に1000gの汗をかくそうで、雨具の表面積を2㎡とすると1㎡当り500g、つまり24時間で12000mmg/㎡/24hrの透湿性が必要ということになります(発汗量は安静時50g、軽い運動で500gとも言われます)。従って、できれば耐水圧20000mm/㎠以上、透湿性15000mmg/㎡/24hrの雨具、せめて耐水圧10000以上、透湿性10000以上のものはほしいところです。

⑫富士山は温度差が激しく5合目と山頂では大きな温度差があります。無風、ピーカンで山頂でも半そでのTシャツ1枚でOKの時もありますが、曇りで風が強かったりすると真夏の昼間でも10℃以下になることもありますから、それなりの防寒対策をして登るごとに重ね着し、下る毎に脱いでいくレイヤーが必要です。 日焼けと怪我防止を兼ねて長袖のシャツにフリースやライトダウンジャケット、防寒シェルを兼ねたレインウェア程度は用意しましょう。

⑬紫外線対策も重要です。特に晴れた日の紫外線は強烈で、うっかり忘れると悲惨な目にあいます。日焼け止めを塗った上で帽子、サングラスは必須、首筋も守って下さい。忘れがちなのは手袋、特にストックを持つ方は必須です。一度T字の1本ストックで、手袋を付け忘れて下山したことがありますが、気が付いたらストックを持った手の甲が真っ赤に焼けていました。岩に手をついたりもするので、指先を守るためにも手袋をしましょう。軍手でもOKです。

⑭ストックは人それぞれです。私は一応持っては行きますが、使ったり使わなかったりです。上手く使えば歩きが楽になり衝撃も減らせますし、バランスもとりやすくなりますが、逆にストックに頼ってしまったり、先端が岩の隙間に刺さり込んでバランスを崩したりしてしまうこともあります。8合目位の段差が大きな旧登で手で支えれば楽なところをなまじ両手にストックを持っているために、ストックをついて無理やり身体を押し上げているような人も見かけます。

⑮登山靴

靴はスニーカーでも登れないことはありませんし、実際にスニーカーで登っている若い人や子供たちを多く見かけますが、がっちりした登山靴でなくても構いません、最低でもトレッキングシューズは履きたいところです。

足首を守るだけではありません。厚く硬いソールなら凹凸の激しい岩の上を歩いてもなんでもありませんが、スニーカーでは凹凸が伝わって疲れます。硬ければ岩の狭いでっぱりでもつま先を引っ掛けて登れますが、柔らかければ登れません。ちょっとした足首の揺れや捻じれも短時間なら耐えられるでしょうが、長時間では大きな負担になります。また富士山は岩と砂の山です。ソールのパターンが大きくしっかりしていないと滑ります。特に疲れが出ている下りはただでさえ滑りやすいのに、スニーカーでは余計に滑り、思わぬケガにもつながります。メーカー名や価格に拘ることもありませんから、自分の足に合った、ソールのしっかりした靴を選びましょう。

ちなみに、富士山では靴にかかる負担が大きいためか、古い靴はソールが剥がれてしまうこともあり、時々落ちているソールを見かけますし、実際に家族で登った時は家内の靴のソールがかかとから剥がれてカポカポしてしまったこともあります(家を出る前に確認していましたが、剥がれの予兆はありませんでした)。剥がれたのが登りの7合5尺くらいだったので引き返そうかとも思いましたが、こんなこともあろうかと瞬間接着剤と捻挫用を兼ねてテーピング用テープを持って行っていたので、接着したソールをテーピングテープで巻いて補強して、どこまで行けるか登ってみよう、ダメだと思ったら引き返そうと、登り続けてみましたが(テーピングテープは靴の甲の部分は面で、ソールの部分は細く捩じってブロックパターンの間を通すようにして巻き付けましたが、途中1回巻替えをしただけで、無事に登って降りてくることができました。備えあればなんとやら・・・でした。

⑯行動食

常にエネルギーを使い続ける富士山登山ではエネルギー補給のための行動食も大事です。何を食べるかはお好み次第ですが、小分けして食べられるもの、歩きながら食べられるもの、ポーチやジャケットのポケットに入れておけ、直ぐに取り出せるもの、口の中が乾きにくいもの、包装紙などゴミの処理が簡単なものがお勧めです。疲れてくるとザックの上げ下ろしもいやになってきます。その結果エネルギー切れになったりゴミを落としたり食べたりゴミを捨てるたびにザックを開けなければならないが面倒でいたら先にエネルギーが切れてしまったでは困りますし、ゴミも持ち帰らなくてはいけません。水分と塩分とエネルギーを同時に取れるスポーツドリンクも私は避けています。本当にばてた時は濃い味のついた飲み物は受け付けなくなりますから、水と塩分、エネルギーは分ける方が良いと思っています。私は大休憩の時はザックから出したゼリー飲料や大福など柔らかい餅菓子を、それ以外はポーチに入れた一口ようかんや黒糖キャラメル、塩分補給用のタブレット、シリアルバーやナッツとドライフルーツを混ぜて小分けしたものなどを食べています。タブレットなどのように噛み砕いてすぐに飲み込めるものは大丈夫ですが、硬いキャンデーやソフトキャンデーなど長く口の中に残るものは、息切れしている時に口の中でコロコロしている感覚が好きではないので食べません。

剣が峰を目指す

お鉢を吉田ルートの方に回ってみました