海ときどき山、ところによりキャンプ

オヤジの緩いアウトドアライフ

山行記(9) 尾瀬沼・尾瀬ヶ原

 尾瀬ヶ原を歩いたのはコロナ禍の真っただ中、2021年の8月下旬でした。

尾瀬にはぜひ行きたいと思っていました。静岡発着のバスツアーなどは無いし一人車で往復するのも・・・ということで静岡から高速バスで新宿へ、バスタ新宿で高速バスを乗り継いで尾瀬に往復する行程を組みました。コロナ禍でどちらのバスも乗車人数制限、静岡-新宿線は減便もしていましたし、山小屋も人数制限されていましたが、出控えに加え尾瀬ではシーズンオフの8月下旬だったことも幸いし、バスの席も尾瀬ヶ原の小屋も無事に取れ、念願の尾瀬行きとなりました。水芭蕉ニッコウキスゲ、草紅葉など人気の季節ではありませんでしたが、どこを歩いても人が少ない静かな尾瀬を堪能できました。

尾瀬沼と燧ヶ岳

尾瀬ヶ原

 尾瀬へは幾つか入山口がありますが、群馬県側の鳩待峠と大清水へはバスタ新宿から直通の関越交通バス尾瀬号が出ており、金曜の夕方に静岡発新宿行の高速バスに乗れば新宿発22時の尾瀬号に乗り継げます。この便は土曜の夜明け前に尾瀬戸倉(鳩待峠登山口)、次いで大清水(一ノ瀬登山口)に着きます。帰りは日曜の昼過ぎに尾瀬戸倉を出れば夕方に新宿に着き、新宿で静岡行に乗り継げ、この行程であれば土曜丸一日と日曜の午前中を尾瀬歩きに使えます。テント泊も考えましたが、まずは軽装で尾瀬を歩いてみようと、1泊2日で大清水から入って尾瀬沼尾瀬ヶ原至仏山と辿って鳩待峠に出る尾瀬縦断初心者堪能コースを歩くことにしました。

 

2021年8月20日(金)~22日(日) 1泊3日

前夜  静岡 ⇒ 新宿 ⇒バス車中泊

1日目 大清水 ➡ 一ノ瀬登山口 ➡ 尾瀬沼尾瀬ヶ原・見晴 ➡ 平滑ノ滝 ➡ 東電小屋

   ➡ ヨッピ橋 ➡ 竜宮(尾瀬ヶ原) ➡ 見晴(泊)

         ルート定数24.8 (歩行距離19.1㎞、累積高低差△614m、▽約634m、

            コースタイム7hr)

2日目 見晴 ➡ 尾瀬ケ原 ➡ 山の鼻 ➡ 鳩待峠 ➡ 尾瀬戸倉

   ルート定数10.5 (歩行距離9km、累積高低差△235m、▽0. 64m、

            コースタイム3hr)

         尾瀬戸倉 ⇒ 新宿 ⇒ 静岡

今回の行程

 

前夜

 17時に静岡を出た高速バスは20時にバスタ新宿着、夕食を取り翌日の朝食、昼食を手当して尾瀬号に乗り継ぎと考えていましたが、誤算だったのはバスタ内に食堂や弁当の売店がなくコンビニだけだったこと、リュックを背負って外を歩き回るのも面倒なのでコンビニで調達しましたが、時間も遅く弁当は既に売り切れで夕食も翌日の朝食、昼食も寂しくパンとおにぎりになってしまいました。

 尾瀬号は22時定刻に新宿を発車、途中関越道のSAと一般道の道の駅でトイレ休憩を取って尾瀬戸倉に入りました。乗客の多くが尾瀬戸倉で降り終点の大清水まで行ったのは10名ほど、3時30分着でした。尾瀬戸倉も大清水も登山口までの連絡バスが出るまで暗い中待機することになります。大清水は外灯もなく真っ暗で、ヘッドライトは持っていましたがどこに何があるも判らない状態、バス停の前の建物の(としか判りませんでした)軒下のベンチに座り夜明けを待ちました。トイレも通常は灯りが消えていて人感センサーで点灯するようになっており、他の人が出入りするのを見てはじめて場所が判りました。

 

土曜 早朝

 白みだしてようやく周りの様子が判りました。建物は「大清水休憩所」、道路を挟んで駐車場と入山口の一ノ瀬休憩所に向かう乗合いバス(ワゴン)乗り場がありました。4時40分くらいにバスが入ってきて登山者が並びだし、私は2台目のバスに乗って5時に大清水を出発、一ノ瀬休憩所着は5時15分でした。一ノ瀬休憩所から三平峠までの登りはさほどきつくありません。途中から林の中に入って三平峠、そこから下ってすぐに峠下の尾瀬沼山荘までゆっくり歩いても1時間ちょっとでした。朝食を取って左に尾瀬沼と燧ケ岳を見ながら更に30分ほど歩いて尾瀬沼ビジターセンター着。トイレに行っている間にビジターセンターも開いたので10分ほど見学し、尾瀬沼の右岸を沼尻に向かいました。

大清水5:00➡(乗合バス)➡一ノ瀬休憩所5:20➡三平峠➡尾瀬沼山荘6:40

➡長蔵小屋・尾瀬沼ビジターセンター7:35 

(歩行距離4㎞・△368m・▽118m)1h35m

大清水

三平峠を下ると目の前に尾瀬沼と燧ヶ岳が現れます

三平下から尾瀬沼ビジターセンターへ

 尾瀬沼ビジターセンターを出て少し田代湿原の方に入ったりして、尾瀬沼の景色を堪能しながらゆっくり右岸を歩き、途中沼尻で前に尾瀬沼、背後に燧ケ岳を見ながらコーヒーを淹れて休憩しました。今回は至仏山に登るつもりで来たので燧ケ岳には登りませんでしたが、燧ケ岳は東北地方の最高峰とのこと、次回は是非登ってみたいと思います。沼尻には公衆トイレがありましたがコロナで管理が行き届かないためか閉鎖されていました。

沼尻で尾瀬沼を離れ、白砂峠を経て尾瀬ヶ原の見晴に向かいました。登りの勾配はさほどきつくありませんが岩がち、白砂峠から見晴へは林の中を下りました。

 尾瀬沼ビジターセンター7:35➡沼尻➡見晴10:35 

 (歩行距離7.1㎞・△99m・▽350m)2h50m

燧ヶ岳

尾瀬沼(沼尻から)

 宿泊は見晴の弥四郎小屋ですが、翌日は至仏山に登って鳩待峠に出るつもりでいましたから、午後は出来るだけ広く尾瀬ヶ原を巡ろうと小屋に荷物を預け軽装になって出かけました。まず向かったのは見晴から赤田代を通って40~50分の平滑の滝。赤田代まで燧ケ岳の裾野沿いに湿原の中の木道を歩き、赤田代からは山の中を下ります。平滑の滝は上から見下ろす形となり、滝というよりは急流ですが、1枚岩の上を流れて下っていると思えば遠目でも迫力を感じました。更に下れば三条の滝ですが、肝心の尾瀬ヶ原を巡る時間が足りなくなると困るので、引き返すことにしました。

 見晴11:00➡赤田代➡平滑の滝11:40➡赤田代➡東電小屋分岐 

 (歩行距離4.7㎞・△29m・▽132m)1h30m

平滑の滝 一枚岩の上を流れているそうです

 赤田代から見晴に戻る途中で東電小屋の方に折れ、尾瀬ヶ原の北の外れ、湿原と林の境目を歩き、東電小屋を経てヨッピ吊橋に向かいました。東電小屋からは湿原が新潟県側にも開けますが、草丈が高く木道も少し高くなっていていかにも熊が出てきそうな雰囲気、木道の上に大きな熊ベルが設置してありました。こちらを歩く登山者は少ないようで、湿原と湿原を囲む山の雰囲気を独占状態で楽しみました。途中出会った登山者は見晴~平滑の滝は1組のみ、東電小屋分岐~ヨッピ吊り橋は0でした。ヨッピ吊り橋はガイドブックにも出ていますが、川を渡る小さな鉄製の吊り橋で、わざわざこれを目当てには来なくても・・・という感じでした。

ヨッピ吊り橋からは湿原の中を龍宮に抜け、見晴に戻りました。この日の歩行距離は19

Km、随分歩きました。

 東電小屋分岐 ➡東電小屋 ➡ヨッピ吊り橋 ➡龍宮 ➡見晴・弥四郎小屋

 (歩行距離5.2㎞・△57m・▽41m)・1hr35m

尾瀬ヶ原の北の端を東電小屋の方へ

ヨッピ吊橋は鉄の橋でした

土曜 夜

 コロナ禍、弥四郎小屋は人数制限をして営業しており、相部屋・大部屋はなくグループごとに個室、一人でも個室でした。料金も高くなっていましたが、コロナ相手ではやむを得なかったですよね。その代わり部屋は別館の2階の尾瀬ヶ原寄りの外れ、窓から尾瀬ヶ原新潟県の山を見渡せました。水が豊富なのも尾瀬の良いところでいずれの山小屋も水は無料ですし、石鹸は使えませんがゆっくり風呂にも入れます。弥四郎小屋の風呂は別館の1階で、湯に浸かりながら尾瀬ヶ原を見渡せました。

見晴・弥四郎小屋と燧ヶ岳

弥四郎小屋から見る尾瀬ヶ原至仏山

一天にわかに掻き曇り・・・

激しい夕立

雨が上がると霧が湧き出てきます

日曜 朝

 朝食後7前前に弥四郎小屋を出発しました。見晴➡竜宮➡山の鼻の尾瀬ヶ原メインルートを歩きましたが、初夏の水芭蕉と秋の草紅葉の合間の時期、思っていたより登山者は少なくゆっくり歩けました。弥四郎小屋で話をしたご夫婦は、ゆっくり歩けるので毎年この時期を選んで来ている、と仰っていました。

尾瀬ヶ原の代名詞である池塘(堆積した泥炭層の隙間に水が溜まった沼池)は竜宮から山の鼻の間の群馬県側に多いですし、曇りがちではありましたが前後の燧ケ岳と至仏山も良く見えていました。色とりどりの花ともいきませんでしたが、○○の花や蝶、カモの親子、水中のイワナやイモリ、水生昆虫などが目を楽しませてくれました。

見晴を後に

尾瀬ヶ原の真ん中で・・・誰もいません

尾瀬ヶ原といえば池塘

池塘が鏡のよう

池塘に映る燧ヶ岳

 この日は山の鼻から至仏山に登って鳩待峠に出るつもりでしたが、山の鼻に着くと熊の出没で至仏山入山禁止、登山口がある尾瀬研究見本園も立ち入り禁止になっていました。残念でしたがそのまま尾瀬に別れを告げ、鳩待峠に向かいました。

山の鼻から鳩待峠へ

途中から見上げた至仏山 次回は登るぞ!

 鳩待峠でシャトルバスに乗り尾瀬戸倉に戻り、バス停の横にある立ち寄り湯で尾瀬号出発までの時間を潰し、バスタ新宿を経て静岡に戻りました。

次回はぜひ至仏山に登りたい、また山の鼻か見晴でテント泊をしたいと思っていますが、今回は熊の出没で山の鼻のテント場もテント泊禁止になっていましたから、事前の情報収集が必要ですね。

 見晴➡竜宮➡山の鼻➡鳩待峠(歩行距離9㎞・△235m・▽64m)・3hr

 鳩待峠(シャトルバス)➡尾瀬戸倉(尾瀬号)➡バスタ新宿(高速バス)

 ➡静岡

ヒョウモンチョウ

トンボ

キアゲハ

膝に乗ってきたバッタ